ベールのカテゴリー定理(2)

\( \DeclareMathOperator{\Int}{Int} \newcommand{\olO}{\overline{O}} \newcommand{\olY}{\overline{Y}} \newcommand{\olZ}{\overline{Z}} \newcommand{\equ}{\, \Leftrightarrow \,} \newcommand{\imp}{\, \Rightarrow \,} \newcommand{\emset}{\emptyset} \newcommand{\Cap}{\bigcap} \newcommand{\Cup}{\bigcup} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\brc}[1]{\left\{ #1 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\} } \)

1. 補題1.

位相空間の3つの部分空間 \( Z \ss Y \ss X \) を考える. \begin{align} \text{\( Z \) が \( Y \) において稠密であり,} \\[0.8em] \text{\( Y \) が \( X \) において稠密である} \end{align} ならば, \( Z \) は \( X \) においても稠密である.

2. 証明.

\begin{align} \text{\( Z \) が \( Y \) において稠密} &\equ Y \ss \olZ, \\[0.8em] \text{\( Y \) が \( X \) において稠密} &\equ X \ss \olY \end{align} であるので, \[ X \ss \olY \ss \olZ. \] これは, \( Z \) が \( X \) において稠密であることを意味する. //

3. 補題2.

位相空間の開部分集合 \( O \) と稠密部分集合 \( A \) を考える.

(1) \( A \) は \( O \) において稠密である.(すなわち, \( A \cap O \) は \( O \) において稠密である.)
(2) \( A \) は \( \olO \) において稠密である.

4. 証明.

(1) \( A \cap O \) が \( O \) 内の空でない任意の開集合 \( U \) と交わること, すなわち, \[ ( A \cap O) \cap U = A \cap U \] が空でないことを示せばよいが, これは \( A \) の稠密性から従う. (あるいは, 開部分集合における稠密性を用いてもよい.) //

(2) \( O \) は \( \olO \) において稠密であるので, 主張は(1)と補題1から従う. //

5.

次の2つの命題は同値である.

(1)完備距離空間において, 稠密開集合の可算共通部分は稠密である. (すなわち, 完備距離空間ベール空間である.)

(2)空でない完備距離空間において, 稠密開集合の可算共通部分は空でない.

6. 証明の前に次のことを注意しておく:

空でない位相空間の稠密部分集合は空でない.

7. (1) \( \imp \) (2) の証明:

上の注意により明らか. //

8. (2) \( \imp \) (1) の証明:

\( X \) を完備距離空間とし, \( U_n \) \( (n \ge 1) \) を \( X \) の稠密開集合とする. \[ \Cap_{n=1}^{\oo} U_n \] が \( X \) において稠密であることを示せばよい. \( X = \emset \) である場合は自明であるので, \( X \ne \emset \) とする. \( X \) の空でない開集合 \( G \) に対して, \[ \prn{\Cap_{n=1}^{\oo} U_n} \cap G \ne \emset \] を示せばよい. 距離空間正則であるので, \[ \olO \ss G \] をみたす空でない開集合 \( O \) が存在する. \[ \prn{\Cap_{n=1}^{\oo} U_n} \cap \olO = \Cap_{n=1}^{\oo} \prn{U_n \cap \olO} \ne \emset \] を示せばよいが, 補題2(2)より \( U_n \cap \olO \) は \( \olO \) の稠密開集合であり, \( \olO \) は空でない完備距離空間であるので, これは成り立っている. //