可算集合上のすべての \( \sigma \) 代数

\( \newcommand{\NN}{\mathbb{N}} \newcommand{\RR}{\mathbb{R}} \newcommand{\scA}{\mathscr{A}} \newcommand{\scD}{\mathscr{D}} \newcommand{\scS}{\mathscr{S}} \newcommand{\s}{\sigma} \newcommand{\aset}{\{ a \}} \newcommand{\emset}{\emptyset} \newcommand{\all}{\forall} \newcommand{\Cap}{\bigcap} \newcommand{\Cup}{\bigcup} \newcommand{\imp}{\Rightarrow} \newcommand{\nin}{\not\in} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\ssne}{\subsetneq} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\uto}[1]{\overset{#1}{\longrightarrow}} \newcommand{\brc}[1]{\left\{ #1 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\} } \)

1. 「\( \NN \) 上の \( \s \) 代数は, \( \NN \) の分割から定まるもの以外には存在しない」ということが, ここで議論されている. 以下はその紹介である.

2. 主張を少し精密化しておく:

\( X \) を空でない可算集合とするとき, 写像 \begin{array}{ccl} \brc{\text{\( X \) の分割}} &\quad \uto{\cup} &\brc{\text{\( X \) 上の \( \s \) 代数}} \\[0.8em] \scD & & \displaystyle \scA := \set{\Cup_{D \in \scD_0} D}{\scD_0 \ss \scD} \end{array} および写像 \begin{array}{ccl} \brc{\text{\( X \) 上の \( \s \) 代数}} &\quad \uto{\cap} &\brc{\text{\( X \) の分割}} \\[0.8em] \scA & &\displaystyle \scD := \set{\Cap_{x \in A \in \scA} A}{x \in X} \end{array} は互いに他の逆写像である.

(これらの写像については, 「分割が定める \( \s \) 代数」および「部分集合族の定める分割」を参照せよ.)

3. 合成写像 \begin{array}{ccc} \brc{\text{\( X \) の分割}} &\quad \uto{\cup} &\brc{\text{\( X \) 上の \( \s \) 代数}} & \quad \uto{\cap} & \brc{\text{\( X \) の分割}} \\[0.8em] \scD & & \scA & & \scD' \end{array} が恒等写像であることの証明:

各 \( x \in X \) に対して, \begin{align} D_x &:= \text{\( x \) を含む \( D \in \scD \)}, \\[0.8em] A_x &:= \Cap \set{A \in \scA}{x \in A} \end{align} とおく.

(1) 各 \( x \in X \) に対して, \( A_x = D_x \).

\( \because) \) 等式 \[ \set{A \in \scA}{x \in A} = \set{A \in \scA}{D_x \ss A} \] において, 両辺の共通部分をとればよい. //

(2) \( \scD' = \scD \).

\( \because) \) \( \scD' = \set{A_x}{x \in X} = \set{D_x}{x \in X} = \scD. \) //

4. 合成写像 \begin{array}{ccc} \brc{\text{\( X \) 上の \( \s \) 代数}} &\quad \uto{\cap} &\brc{\text{\( X \) の分割}} & \quad \uto{\cup} & \brc{\text{\( X \) 上の \( \s \) 代数}} \\[0.8em] \scA & & \scD & & \scA' \end{array} が恒等写像であることの証明:

各 \( x \in X \) に対して, \[ A_x := \Cap \set{A \in \scA}{x \in A} \] とおく.

(1) 任意の \( x \in X \) に対して, \( A_x \in \scA \).

\( \because) \) \( y \nin A_x \) とすると, \( x \in B \in \scA \) で \[ y \nin B \] をみたすものが存在する. 各 \( y \in (A_x)^c \) に対して, そのようなものを1つ選び, \( B_y \) とおく: \[ x \in B_y \in \scA, \quad y \nin B_y . \] 各 \( y \in (A_x)^c \) に対して \( A_x \ss B_y \) であるので, \[ A_x \ss \Cap_{y \in (A_x)^c} B_y \] であるが, 任意の \( y \in (A_x)^c \) に対して \[ y \nin \Cap_{z \in (A_x)^c} B_z \] であるので, \[ A_x = \Cap_{y \in (A_x)^c} B_y \] である. この右辺は可算個の \( \scA \) の要素の共通部分であるので(なぜなら, \( X \) が可算であるので, その部分集合 \( (A_x)^c \) も可算), \[ A_x \in \scA \] である. //

(2) \( \scA = \scA' \).

\( \because) \) 各 \( A \in \scA \) に対して, \[ A = \Cup_{x \in A} A_x \] であることと (1) から, \[ \scA = \set{\Cup_{x \in X_0} A_x}{X_0 \ss X} \] を得るが, 右辺は \( \scA' \) である. //