1. 以下, (単位元をもつ)可換環 \( R \) に対して, その可逆元全体が乗法に関してなす群を \( R^{\tm} \) と書く. これは, \( R \) の単元群と言われる.
2. 可換環の間の環準同型 \[ f \col R \to S \] は, \( R \) の可逆元を \( S \) の可逆元に写すので, それぞれの単元群の間に群準同型 \[ f^{\tm} \col R^{\tm} \to S^{\tm} \] が引き起こされる.
3. この群準同型に関して, ここで見た議論が面白かったので紹介する.
4.
5. 証明: \( R \) の極大イデアルのうち, \( \ker f \) を含まないものを \[ M_1, \quad \ld, \quad M_n \] とする. このとき, \[ \ker f, \quad M_1, \quad \ld, \quad M_n \] のどの2つも互いに素である.
\( v \in S^{\tm} \) とし, \( f(a) = v \) である \( a \in R \) をとる.
中国の剰余定理により, \[ \left\{ \begin{align} x &\con a \quad \bmod \ker f \\[0.8em] x &\con 1 \quad \bmod M_1 \\[0.8em] & \cd \\[0.8em] x &\con 1 \quad \bmod M_n \end{align} \right. \] をみたす \( x \in R \) が存在する. このとき, 次が成り立つ:
(1) \( f(x) = v \).
(2) \( x \) は \( M_1 \), \( \ld \), \( M_n \) に含まれない.
(3) \( x \) は \( \ker f \) を含むどの極大イデアルにも含まれない. (なぜなら, そうでないとすると, \( f(x) = v \) が \( S \) のある極大イデアルに含まれてしまうから. イデアルの対応定理を用いた.)
(2)と(3)より \( x \in R^{\tm} \) であるので(ここを参照), (1)により \( f^{\tm} \) の全射性が示された. //
6. 系: