前回の続き.
1. 次のような問いを考えた: \( A \ss \bbR \) を有界な集合とする. 次のような可算無限集合族はあるか?
2. 次のような答えを得た: 次の2条件をみたす有界集合 \( E \) に対して, 平行移動族 \[ (E + \l)_{\l \in \L}, \quad \L = \bbQ \cap [-b, b] \] を考えればよい(\( b \) は十分大きくとる).
最初の条件は直和条件を保証し, 2番目の条件は被覆条件を保証する.
3. この場合, \( A \) の外測度が正であれば, \( E \) は非可測集合となるのだった. すなわち, 「外測度正の有界集合 \( A \) に対して, 上の2条件をみたす有界集合 \( E \) をとれ. それが非可測集合である.」
4. 前回, \( E \) として \( \bbR / \bbQ \) の有界な完全代表系をとった.
5. 別のとり方もある: \( A \) に \[ x \sim y \quad \overset{\text{def}}{\equ} \quad x - y \in \bbQ \] という同値関係を入れ, その完全代表系をとれ.
6. これによって, 次の事実が示されたことになる: 外測度正の任意の有界集合は, 必ず非可測な部分集合をもつ.
7. "有界" という仮定は落とすことができる: 外測度正の任意の集合は, 必ず非可測な部分集合をもつ.
8. なぜなら, \( A \) を外測度正の集合とするとき, \[ A \cap [n, n+1), \quad n \in \bbZ \] のいずれかは外測度正をもつからである(外測度の劣加法性による).
9. 対照的に, 外測度ゼロの集合の部分集合は, すべて可測である. 外測度ゼロの集合の部分集合も外測度ゼロであり(外測度の単調性), 外測度ゼロの集合は可測であるからである.
10. 終わり.