反転に関する準備が続きましたが, 今回から, アポロニアン・ガスケットの話に戻ります. 第0世代の円は既に描き終えていますので, 第1世代の円から始めましょう.
第1世代の円を描くには, 次の4つの円が必要となります.
円 A’: 円 B, C, D に直交する円,
円 B’: 円 A, C, D に直交する円,
円 C’: 円 A, B, D に直交する円,
円 D’: 円 A, B, C に直交する円.
円 B’: 円 A, C, D に直交する円,
円 C’: 円 A, B, D に直交する円,
円 D’: 円 A, B, C に直交する円.
反転に関する私たちの知識があれば, これらの円を持ち出すことは自然でしょう. 例えば円 D’ は, 以下の推論から出てきます.
1. 円 D は円 A, B, C に接している.
2. 円 D’ に関する反転は, 円 A, B, C を動かさない.
3. 円 D’ による円 D の反転も円 A, B, C に接している.
4. 円 D の反転は, (自分自身ではないと仮定すると)円 D1 である.
2. 円 D’ に関する反転は, 円 A, B, C を動かさない.
3. 円 D’ による円 D の反転も円 A, B, C に接している.
4. 円 D の反転は, (自分自身ではないと仮定すると)円 D1 である.
(前回述べた反転の2つの性質が使われています.)
私たちは, 「円 A, B, C に接する円 D1」ではなく, 「円 A, B, C に直交する円 D’」を計算します. 後者の計算の方が簡単だからです. (円 D1 を直接簡単に求める公式があるのですが, それを導くにはまた少し準備が必要になるため, ここでは触れないことにします.)
4つの反転円 A’, B’, C’, D’ を求める具体的な計算は, 次回以降で行いたいと思います.