等角性により, 円の反転に関して, 次の2つのことが成り立ちます.
- 互いに接する2円は, 反転によって互いに接する2円に写る.
- 反転円に直交する円は, 反転によって自分自身に写る.
以下は, その理由についてです.
1 について
2曲線 C と C
が点 P において交わっているとします.
この2曲線が点 P においてなす角とは, それぞれの接線
と
が点 P においてなす角のことです(
/2 以下とすると, 一意的に定まります).
「2曲線 C と C
が点 P において接する」というのは, 「点 P におけるそれぞれの接線が等しい」ということです.
これは, 「2曲線 C
と C
のなす角が 0」と言い換えられます.
反転は2曲線のなす角を保存するので,「接する」という状況も保存します.
2 について
円 I 上の1点 A を通り, 点 A において円 I に直交する円を考えます.
そのような円の中心 C は, 点 A における円 I の接線 上になければなりません.
円 I 上の2点 A, B を通り, 円 I に直交する円を考えます.
そのような円の中心 C は, 接線 と
の交点でなければなりません.
また, 半径は CA(= CB)でなければなりません.
したがって, 「円 I 上の2点 A, B を通り, 円 I に直交する円」はただ1つだけ存在します.
さて, 改めて反転円 I に直交する円 C を考え, その交点を A, B とします. 円 C を反転させた円 C’ は, 反転の等角性により, 円 I と直交します(円 I は反転により動きません). また, 円 C’ は2点 A, B を通ります. 上での考察によれば, そのような円はただ1つしか存在しません. つまり, 円 C と円 C’ は同じ円です.
円 C は反転によって, 自分自身に写ります.