\(n\) 次元射影空間の射影変換は \(n+2\) 点の行き先で決まる(2)

\( \newcommand{\calF}{\mathcal{F}} \newcommand{\calG}{\mathcal{G}} \newcommand{\tilF}{\tilde{F}} \newcommand{\e}{\varepsilon} \newcommand{\i}{\iota} \newcommand{\l}{\lambda} \newcommand{\p}{\pi} \newcommand{\s}{\sigma} \newcommand{\ph}{\varphi} \newcommand{\phinv}{\varphi^{-1}} \newcommand{\phiinv}{\phi^{-1}} \newcommand{\all}{\forall} \newcommand{\brc}[1]{\left\{ #1 \right\}} \newcommand{\cc}{\circ} \newcommand{\col}{\, \colon \,} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\equ}{\, \Leftrightarrow \,} \newcommand{\ex}{\exists} \newcommand{\fr}[2]{\frac{#1}{#2}} \newcommand{\hto}{\hookrightarrow} \newcommand{\iso}{\overset{\sim}{\to}} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\mto}{\mapsto} \newcommand{\opl}{\oplus} \newcommand{\Opl}{\bigoplus} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\ptm}[1]{\phantom{#1}} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \newcommand{\sm}{\setminus} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\tod}{\downarrow} \newcommand{\tou}{\uparrow} \newcommand{\thf}{\therefore} \newcommand{\surj}{\twoheadrightarrow} \newcommand{\uhto}[1]{\overset{#1}{\hookrightarrow}} \newcommand{\usurj}[1]{\overset{#1}{\twoheadrightarrow}} \newcommand{\uto}[1]{\xrightarrow{#1}} \newcommand{\zrset}{\{ 0 \}} \DeclareMathOperator{\Hom}{Hom} \DeclareMathOperator{\Im}{Im} \DeclareMathOperator{\Ker}{Ker} \)

1. 以下, ベクトル空間はすべて, ある固定された体 \( K \) 上のものである.

2. 用語:

\(\color{red}{ \diamondsuit } \, \) 以下, 「直線」とは, 1次元部分空間のことである.

\(\color{red}{ \diamondsuit } \, \) \( n \) 次元ベクトル空間 \( V \) の \( n+1 \) 本の直線が一般の位置にあるとは, その中のどの \( n \) 本も \( V \) を生成することである.

3. 次を示したい.

\( n \) 次元ベクトル空間 \( V \) と \( W \) のそれぞれに, 一般の位置にある \( n+1 \) 本の直線 \[ V_1, \quad \ld, \quad V_{n+1} \] と \[ W_1, \quad \ld, \quad W_{n+1} \] が与えられているとする. このとき, \[ F(V_i) \ss W_i \quad (1 \le \all i \le n+1) \] をみたす線形写像 \[ F \col V \to W \] は, ゼロ写像でなければ, 同型である.

4. 証明: \( F \ne 0 \) とし, \( F \) が同型であることを示す.

線形写像 \( \s_V \) と \( \s_W \) を \begin{align} \s_V \col V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} &\to V,& (v_1, \, \ld, \, v_{n+1}) &\mto v_1 + \cd + v_{n+1}, \\[0.8em] \s_W \col W_1 \opl \cd \opl W_{n+1} &\to W,& (w_1, \, \ld, \, w_{n+1}) &\mto w_1 + \cd + w_{n+1} \end{align} により定義する.

\( \s_V \) および \( \s_W \) が全射であり, \[ \dim \prn{\Ker \s_V} = \dim \prn{\Ker \s_W} = 1 \] であることに注意する.

\( 1 \le i \le n+1 \) を1つ固定し, 図式 \[ \begin{matrix} \displaystyle \Opl_{\l \ne i} V_{\l} & \hto & V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} & \surj & V_i \\ & & \parallel & & \\[0.8em] \Ker \s_V & \hto & V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} & \usurj{\s_V} & V \end{matrix} \] を考える.

\( n \) 本の直線 \( V_{\l} \) \( (\l \ne i) \) は \( V \) を生成するので, 合成 \[ \Opl_{\l \ne i} V_{\l} \, \hto \, V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} \, \usurj{\s_V} \, V \] は全射である.

前回示した命題により, 合成 \[ \Ker \s_V \, \hto \, V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} \, \surj \, V_i \] も全射であるが, これは定義域と値域の次元が等しいので, 同型である.

\( W \) に関しても同様のことが成り立つ: 合成 \[ \Ker \s_W \, \hto \, W_1 \opl \cd \opl W_{n+1} \, \surj \, W_i \] は同型である.

各 \( 1 \le i \le n+1 \) に対して, \( F \) の定義域を \( V_i \) へ, 値域を \( W_i \) へ制限したものを \( F_i \) と書く.

記号を短くするために, \[ \tilF := F_1 \opl \cd \opl F_{n+1} \] とおく: \( \tilF \) は \( V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} \) から \( W_1 \opl \cd \opl W_{n+1} \) への線形写像で, \begin{align} \tilF(v_1, \, \ld, \, v_{n+1}) &= \bigl( F_1(v_1), \, \ld, \, F_{n+1}(v_{n+1}) \bigr) \\[0.8em] &= \bigl( F(v_1), \, \ld, \, F(v_{n+1}) \bigr). \end{align}

図式 \[ \begin{matrix} V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} & \uto{\s_V} & V \\[0.8em] \ptm{\tilF} \tod \tilF & & \ptm{F} \tod F \\[0.8em] W_1 \opl \cd \opl W_{n+1} & \uto{\s_W} & W \end{matrix} \] は可換であるので, \[ \tilF(\Ker \s_V) \ss \Ker \s_W \] が成り立つ.

可換図式 \[ \begin{matrix} \Ker \s_V & \hto & V_1 \opl \cd \opl V_{n+1} & \surj & V_i \\[0.8em] \ptm{\tilF} \tod \tilF & & \ptm{\tilF} \tod \tilF & & \ptm{F_i} \tod F_i \\[0.8em] \Ker \s_W & \hto & W_1 \opl \cd \opl W_{n+1} & \surj & W_i \end{matrix} \] を考え, 中央の列を省略する: \[ \begin{matrix} \Ker \s_V & \iso & V_i \\[0.8em] \ptm{\tilF} \tod \tilF & & \ptm{F_i} \tod F_i \\[0.8em] \Ker \s_W & \iso & W_i . \end{matrix} \]

(\( \Ker \s_V \) 上で)\( \tilF = 0 \) とすると, 任意の \( 1 \le i \le n+1 \) に対して \( F_i = 0 \) となるが, これは \( F \ne 0 \) に矛盾するので, \( \tilF \ne 0 \) である.

これは \( \tilF \) が同型であることを意味し, したがって, 任意の \( 1 \le i \le n+1 \) に対して, \( F_i \) も同型となる.

よって, \[ W_1, \, \cd, \, W_{n+1} \ss \Im F \] であるが, \( W \) は \( W_1 \), \( \ld \), \( W_{n+1} \) によって生成されるので, \[ W \ss \Im F \] である.

これは, \( F \col V \to W \) が全射であること, したがって同型であることを意味する. //