中国の剰余定理

\( \newcommand{\p}{\pi} \newcommand{\ph}{\varphi} \newcommand{\col}{\, \colon \,} \newcommand{\con}{\equiv} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\iso}{\, \overset{\sim}{\to} \,} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\mto}{\mapsto} \newcommand{\ptm}[1]{\phantom{#1}} \newcommand{\tm}{\times} \newcommand{\tod}{\downarrow} \newcommand{\tour}{\nearrow} \)

1. 以下, \( R \) は単位元をもつ可換環である. 前回, 次のことを示した:

\( R \) のイデアル \( I \) が \( R \) のイデアル \( J_1 \), \( \ld \), \( J_n \) のそれぞれと互いに素であれば, \( I \) は積 \( J_1 \cd J_n \) と互いに素である: \[ I + J_1 \cd J_n = R. \]

2. したがって, ある \( x \in J_1 \cd J_n \) が存在し, \[ x \con 1 \bmod I. \] このとき, \[ \left\{ \begin{align} &x \con 0 \bmod J_1 \\[0.8em] & \,\,\, \cd \\[0.8em] &x \con 0 \bmod J_n \end{align} \right. \] が成り立っている.

3. 中国の剰余定理: どの2つも互いに素な \( R \) のイデアル \( I_1 \), \( \ld \), \( I_n \) を考える. このとき, 任意の \( a_1 \), \( \ld \), \( a_n \in R \) に対して, \[ \left\{ \begin{align} &x \con a_1 \bmod I_1 \\[0.8em] & \,\,\, \cd \\[0.8em] &x \con a_n \bmod I_n \end{align} \right. \] をみたす \( x \in R \) が存在する.

証明: 上での議論により, 各 \( 1 \le k \le n \) に対して, \[ \left\{ \begin{align} x_k &\con 1 \bmod I_k \\[0.8em] x_k &\con 0 \bmod I_j \quad (1 \le j \le n, \, j \ne k) \end{align} \right. \] をみたす \( x_k \in R \) が存在する. \[ x := a_1 x_1 + \cd + a_n x_n \] とおけばよい. //

4. 系: どの2つも互いに素な \( R \) のイデアル \( I_1 \), \( \ld \), \( I_n \) を考える. このとき, 図式

\( \displaystyle \ptm{\p_{I_1 \cap \cd \cap I_n} \,\,\,\,\,} R \quad \xrightarrow{(\p_{I_1}, \ld, \p_{I_n})} \quad R/I_1 \tm \cd \tm R/I_n \)
\( \p_{I_1 \cap \cd \cap I_n} \) \( \xrightarrow{\ptm{aaaaa}} \) \( \quad \qquad \) \( \xrightarrow{\ptm{aaaaaaaaa}} \) \( \ph \)
\( \displaystyle \ptm{aaa} R / (I_1 \cap \cd \cap I_n) \)

を可換にする環の同型 \[ \ph \col R / (I_1 \cap \cd \cap I_n) \iso R/I_1 \tm \cd \tm R/I_n \] がただ1つ存在する. ここで, \( R \) のイデアル \( J \) に対して, 自然な射影 \( R \to R/J \) を \( \p_J \) と書いた.

証明: 上の命題により, 環準同型 \[ (p_{I_1}, \ld, \p_{I_n}) \col R \to R/I_1 \tm \cd \tm R/I_n \] は全射であり, その核は \[ I_1 \cap \cd \cap I_n \] であるから. //