射影空間と射影変換

\( \newcommand{\PP}{\mathbb{P}} \newcommand{\calA}{\mathcal{A}} \newcommand{\calB}{\mathcal{B}} \newcommand{\l}{\lambda} \newcommand{\p}{\pi} \newcommand{\ps}{\psi} \newcommand{\all}{\forall} \newcommand{\cc}{\circ} \newcommand{\col}{\, \colon \,} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\equ}{\, \Leftrightarrow \,} \newcommand{\imp}{\, \Rightarrow \,} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\mto}{\mapsto} \newcommand{\iso}{\overset{\sim}{\to}} \newcommand{\sm}{\setminus} \newcommand{\surj}{\twoheadrightarrow} \newcommand{\tod}{\downarrow} \newcommand{\zrset}{\{ 0 \}} \newcommand{\dto}[1]{\xrightarrow[#1]{}} \newcommand{\uto}[1]{\xrightarrow{#1}} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \)

1. 集合 \( A \), \( B \), \( C \) と2つの写像 \[ \p \col A \surj B, \quad F \col A \to C \qquad ( \text{\( \surj \) は全射} ) \] があり, \[ \all a_1, a_2 \in A, \,\, \p(a_1) = \p(a_2) \,\, \imp \,\, F(a_1) = F(a_2) \] が成り立つとき, 図式

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を可換にする写像 \( f \col B \to C \) がただ1つ存在する.

2. ベクトル空間 \( V \) に対して, その \( 1 \) 次元部分空間の全体を \( \PP(V) \) で表し, \( V \) を射影化した射影空間と呼ぶ.

3. このとき, 全射 \[ \p \col V \sm \zrset \to \PP(V), \quad v \mto [v] \] が考えられる. ここで, \( 0 \ne v \in V \) に対して, \[ [v] := \bigl( \, \text{\(v\) の生成する \( 1 \) 次元部分空間} \, \bigr) \] である.

4. \( v_1 \), \( v_2 \in V \sm \zrset \) に対して, \[ [v_1] = [v_2] \equ \text{ \( v_1 \) と \( v_2 \) が線形従属 } \] が成り立つ. したがって, ベクトル空間の間の単射線形写像 \( F \col V \to W \) に対して, \[ [v_1] = [v_2] \imp [F(v_1)] = [F(v_2)] \] である.

5. これを書き換えると, \[ \p(v_1) = \p(v_2) \imp (\p \cc F)(v_1) = (\p \cc F)(v_2) \] であるので, 最初に述べた注意によれば, 図式 \[ \begin{matrix} V \sm \zrset & \uto{F} & W \sm \zrset \\[0.8em] \p \tod & & \tod \p \\[0.8em] \PP(V) & \dto{\PP(F)} & \PP(W) \end{matrix} \] を可換にする写像 \( \PP(F) \col \PP(V) \to \PP(W) \) がただ1つ存在する. このようにして得られる射影空間の間の写像は, 射影線形写像と呼ばれる.

6. \( \PP \) は, ベクトル空間とその間の単射線形写像がなす圏から, 集合とその間の写像がなす圏への関手となっている.

7. \( V = W \) であれば, 「変換」という語の一般的な用いられ方に従い, \( \PP(F) \) は射影(線形)変換と呼ばれる.