平均値の定理

\( \newcommand{\equ}{\,\,\, \Leftrightarrow \,\,\,} \newcommand{\vec}[1]{\overrightarrow{ #1 }} \newcommand{\ab}[1]{\left| #1 \right|} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\brc}[1]{\left\{ #1 \right\}} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \)

1. 平面内の異なる2点 \( A \) から \( B \) へ向かうとき, 立ち止まることなく滑らかに移動すれば, どこかで速度ベクトルが \[ \vec{AB} \] と平行になるように思われます.

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実際には, 立ち止まる場合も含めて, 次の命題が成り立ちます.

\( f \) および \( g \) を \( [a,b] \) 上で定義された連続関数とし, ともに \( (a,b) \) において微分可能であるとする. このとき, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ v \, f'(c) - u \, g'(c) = 0 \quad \prn{\equ \begin{vmatrix} f'(c) & u \\ g'(c) & v \end{vmatrix} = 0} \] となる. ここで, \[ \begin{pmatrix} u \\ v \end{pmatrix} := \begin{pmatrix} f(b) - f(a) \\ g(b) - g(a) \end{pmatrix} \] とおいた.

2. なぜなら:

\( t \in [a,b] \) に対して, \[ F(t) := v \, f(t) - u \, g(t) \] と定義する. このとき, \( F \) は \( [a,b] \) 上で連続であり, \( (a,b) \) 上で微分可能である.

また, \[ F(a) = F(b) \] である. それは, \begin{align} 0 &= \begin{pmatrix} v & -u \end{pmatrix} \begin{pmatrix} u \\ v \end{pmatrix} \\[0.8em] &= \begin{pmatrix} v & -u \end{pmatrix} \brc{ \begin{pmatrix} f(b) \\ g(b) \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} f(a) \\ g(a) \end{pmatrix} } \\[0.8em] &= F(b) - F(a) \end{align} より分かる.

したがって, ロルの定理より, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ F'(c) = 0 \] となる. //

3. 速度ベクトルがゼロにならない場合, 曲線上のどこかで \( \vec{AB} \) と平行な接線が引けます. 速度ベクトルがどこかでゼロになる場合はどうでしょうか? この場合には, \( \vec{AB} \) と平行な接線が引けるとは限りません. 例えば, 次の曲線がその例です: \[ \begin{pmatrix} f(t) \\ g(t) \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t^3 \\ t^2 \end{pmatrix} \quad \prn{ t \in [-a, a], \, a > 0 }. \]

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1. 系.

\( f \) および \( g \) を \( [a,b] \) 上で定義された連続関数とし, ともに \( (a,b) \) において微分可能であるとする. 任意の \( t \in (a,b) \) に対して \[ g'(t) \ne 0 \] であれば, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ \frac{f(b) - f(a)}{g(b) - g(a)} = \frac{f'(c)}{g'(c)} \] となる.

注意: 命題の仮定のもとでは, 常に \[ g(a) \ne g(b) \] である. なぜなら, \( g(a) = g(b) \) とすると, ロルの定理によりある \( c \in (a,b) \) で, \[ g'(c) = 0 \] となるからである.

2. 系.

\( f \) を \( [a,b] \) 上の連続関数とし, \( (a,b) \) において微分可能であるとする. このとき, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ \frac{f(b) - f(a)}{b - a} = f'(c) \] となる.

証明: 上の系において \[ g(t) = t \] とすればよい. //