シンプソンの公式と三次関数

\( \newcommand{\a}{\alpha} \newcommand{\b}{\beta} \newcommand{\c}{\cdot} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\aeq}{\fallingdotseq} \newcommand{\tm}{\times} \newcommand{\rec}[1]{\frac{1}{#1}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\brk}[1]{\left[ #1 \right]} \)

1. 以前, 2次以下の関数 \( p(x) \) に対するシンプソンの等式を示しました: \[ \int_a^b p(x) \, dx = \brk{ p(a) + 4 p(c) + p(b) } \frac{h}{6}. \] ここで, \( a < b \) であり, \[ c := \frac{a+b}{2}, \quad h := b - a \] です.

2. その証明は2次以下でなければ成り立たないものでしたが, 不思議なことに, この等式は3次関数 \( p(x) \) に対しても成り立ちます.

1. まず, 多項式関数 \( f \) に対して, \begin{align} I(f) &:= \int_a^b f(x) \, dx, \\[0.8em] S(f) &:= \brk{ f(a) + 4 f(c) + f(b) } \frac{h}{6} \end{align} とおくとき, \( I \) と \( S \) が線形であることに注意します: 任意の実数 \( \a \), \( \b \) と任意の多項式関数 \( f \) と \( g \) に対して, \begin{align} I(\a f + \b g) &= \a I(f) + \b I(g), \\[0.8em] S(\a f + \b g) &= \a S(f) + \b S(g). \end{align}

2. これより, シンプソンの等式を \( x^3 \) に対して示せばよいことになります. なぜなら, これが示されれば, 3次関数 \[ p(x) = \a x^3 + q(x), \quad \a \ne 0, \quad \deg q \le 2 \] に対して, \[ I(p) = \a I(x^3) + I(q) = \a S(x^3) + S(q) = S(p) \] となるからです.

3. \( I(x^3) \) と \( S(x^3) \) を素直に計算してみます: \begin{align} I(x^3) &= \int_a^b x^3 \, dx = \brk{\frac{x^4}{4}}_a^b = \frac{b^4 - a^4}{4}, \\[1em] S(x^3) &= \brk{a^3 + 4 \prn{ \frac{a+b}{2} }^3 + b^3} \frac{b-a}{6} \\[0.8em] &= \brk{a^3 + \frac{a^3 + 3a^2 b + 3a b^2 + b^3}{2} + b^3} \frac{b-a}{6} \\[0.8em] &= \frac{ \prn{ a^3 + a^2 b + ab^2 + b^3 } (b-a)}{4} \\[0.8em] &= \frac{b^4 - a^4}{4}. \end{align} これで示されました. //

1. 実は計算なしで示すこともできます.

2. まず, 平行移動を行います: \begin{align} \int_a^b p(x) \, dx &= \int_{a-c}^{b-c} p(x + c) \, dx \\[0.8em] &= \int_{-\frac{h}{2}}^{\frac{h}{2}} q(x) \, dx, \\[0.8em] \brk{ p(a) + 4 p(c) + p(b) } \frac{h}{6} &= \brk{ p \prn{c - \frac{h}{2}} + 4 p(c) + p \prn{c + \frac{h}{2}} } \frac{h}{6} \\[1em] &= \brk{ q \prn{- \frac{h}{2}} + 4 q(0) + q \prn{\frac{h}{2}} } \frac{h}{6} . \end{align}

ここで, \[ q(x) := p(x + c) \] とおきました. これも3次関数です.

3. 問題は次の問いに帰着されました: 区間 \( [-k, k] \) の場合に, 3次関数 \( q(x) \) に対するシンプソンの等式 \[ I(q) = S(q) \] は成り立つか?

3. しかし, これはすぐに成り立つと分かります. なぜなら, この場合, \begin{align} I(x^3) &= 0, \\[0.8em] S(x^3) &= 0 \end{align} であるからです. //

1. 3次関数に対してシンプソンの等式が成り立つという事実は, シンプソンの公式の誤差評価から自然に得られます. 次回, このことについて述べます.