ラグランジュ補間(1)

\( \newcommand{\bbR}{\mathbb{R}} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\rec}[1]{\frac{1}{#1}} \)

1. 次のことが成り立ちます.

実直線上に相異なる \( n + 1 \) 点 \[ x_0, \, x_1, \, \ld, \, x_n \] が与えられているとする. その上でとる値 \[ y_0, \, y_1, \, \ld, \, y_n \in \bbR \] を任意に指定するとき, 高々 \( n \) 次の実係数多項式の中に, そのような値をとるものがただ1つ存在する.

2. 上記の補間多項式は, 「ラグランジュ基底多項式」(後で説明)を用いて表せます. 補間多項式ラグランジュ基底多項式を用いた表示を与えることを, 「ラグランジュ補間」と言います.

3. 本記事の話は, すべて実数の範囲で考えます.

1. 冒頭の主張を証明してみます. その過程でラグランジュ補間が現れます.

2. (存在の証明) 実数 \( b_1 \), \( b_2 \), \( \ld \), \( b_n \) に対して, \[ D_{b_1, \ld, b_n}(x) := (x - b_1) \cd (x - b_n) \] と定義します. これはもちろん \( n \) 次多項式です. さらに, 実数 \( a \), およびそれとは異なる実数 \( b_1 \), \( b_2 \), \( \ld \), \( b_n \) に対して, \[ L_{a; \, b_1, \ld, b_n}(x) := \frac{D_{b_1, \ld, b_n}(x)}{D_{b_1, \ld, b_n}(a)} \] と定義します. これも \( n \) 次多項式であり, \begin{align} L_{a; \, b_1, \ld, b_n}(a) &= 1, \\[0.8em] L_{a; \, b_1, \ld, b_n}(b_i) &= 0 \quad (i = 1, \ld, n) \end{align} をみたします.

3. 記号が長いので, 考えている \( b_1 \), \( \ld \), \( b_n \) が明白なときには, \( L_{a; \, b_1, \ld, b_n}(x) \) を単に \[ L_{a}(x) \] と書くことにします.

4. 冒頭の主張に戻り, 高々 \( n \) 次の多項式 \[ f(x) = y_0 L_{x_0}(x) + y_1 L_{x_1}(x) + \cd + y_n L_{x_n}(x) \] を考えます. \( L_{x_i}(x) \) において省略された添字は, \[ x_0, \, x_1, \, \ld, \, x_n \quad \text{のうち} \quad x_i \quad \text{以外} \] です: \[ L_{x_i}(x) = L_{x_i; \, x_0, \ld, x_{i-1}, x_{i+1}, \ld, x_n}(x). \]

5. \( L_{x_i}(x) \) の定義より, \[ f(x_i) = y_i L_{x_i}(x_i) = y_i \] であるので, \( f(x) \) は求める補間多項式となっています. //

6. この証明中に現れた多項式 \[ L_{x_i}(x) \quad (i = 0, 1, \ld, n) \] がラグランジュ基底多項式と呼ばれるものです.

高々 \( n \) 次の多項式全体は \( n+1 \) 次元実ベクトル空間を構成しますが, これらの \( n+1 \) 個のラグランジュ基底多項式はその基底となっています(理由:明らかに一次独立なので).

1. 一意性の証明は次回述べます.