二次関数の定積分: 1/6 公式(1)

\( \newcommand{\tm}{\times} \newcommand{\c}{\cdot} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\rec}[1]{\frac{1}{#1}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\brk}[1]{\left[ #1 \right]} \)

1. 二次関数の定積分に関する次の等式を「1/6 公式」と言うそうです: 実数 \( a < b \) に対して, \[ \int_a^b (x - a)(x - b) \, dx= - \frac{(b - a)^3}{6}. \]

2. この公式の簡潔さは, 次の図により説明されます.

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図では, 根の間の距離を \[ h := b - a \] と置いています.

3. 計算で示したい場合には, 置換積分を行います: 最初に平行移動してから \( x = ht \) と置くと, \begin{align} \int_a^b (x-a)(x-b) \, dx &= \int_0^h x(x-h) \, dx \\[0.8em] &= \int_0^1 ht \c h(t-1) \c h \, dt \\[0.8em] &= h^3 \int_0^1 t(t-1) \, dt. \end{align}

4. 最後の積分, あるいは図の符号付き面積 \( S \) は, \begin{align} S &= \int_0^1 x(x-1) \, dx \\[0.8em] &= \int_0^1 (x^2 - x) \, dx \\[0.8em] &= \brk{\frac{x^3}{3} - \frac{x^2}{2}}_0^1 = \rec{3} - \rec{2} = - \rec{6} \end{align} と計算されますが, この数字には何か意味があるでしょうか?

5. それを見るために, 今計算した積分を一般化してみます: 整数 \( m \), \( n \ge 0 \) に対して, \[ I(m,n) := \int_0^1 x^m (1-x)^n \, dx. \]

6. この積分は, 部分積分により簡単に求まります: \( n \ge 1\) のとき, \begin{align} I(m,n) &= \brk{\frac{x^{m+1}}{m+1} (1-x)^n}_0^1 - \int_0^1 \frac{x^{m+1}}{m+1} \c (-n) (1-x)^{n-1} \, dx \\[0.8em] &= \frac{n}{m+1} \int_0^1 x^{m+1} (1-x)^{n-1} \, dx \\[0.8em] &= \frac{n}{m+1} \, I(m+1, n-1) \end{align} であるので, \begin{align} I(m,n) &= \frac{n}{m+1} \, I(m+1, n-1) \tag{1 回目} \\[0.8em] &= \frac{n}{m+1} \tm \frac{n-1}{m+2} \, I(m+2, n-2) \tag{2 回目} \\[0.8em] &= \cd \\[0.8em] &= \frac{n}{m+1} \tm \frac{n-1}{m+2} \tm \cd \tm \frac{1}{m+n} \, I(m+n, 0) \tag{n 回目} \\[0.8em] &= \frac{n!}{(m+1)(m+2) \cd (m+n)} \tm \rec{m+n+1}. \end{align}

二項係数を用いれば, \[ I(m,n) = \rec{m+n+1} \binom{m+n}{m}^{-1}. \]

7. 冒頭の公式に現れている \( 1/6 \) を, \[ \rec{3} \binom{2}{1}^{-1} = \rec{6} \] と見ることができるようになりました.