稠密な部分集合上の関数が全空間へ連続に拡張されるための必要十分条件

\( \newcommand{\bbR}{\mathbb{R}} \newcommand{\a}{\alpha} \newcommand{\e}{\varepsilon} \newcommand{\olf}{\overline{f}} \newcommand{\emset}{\emptyset} \newcommand{\sm}{\setminus} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\sp}{\supset} \newcommand{\nin}{\not\in} \newcommand{\xset}{\{ x \}} \newcommand{\yset}{\{ y \}} \newcommand{\Cap}{\bigcap} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\col}{\, \colon \,} \newcommand{\mto}{\mapsto} \newcommand{\uto}[1]{\overset{#1}{\longrightarrow}} \newcommand{\imp}{\,\,\, \Rightarrow \,\,\,} \newcommand{\fol}{\Leftarrow} \newcommand{\equ}{\,\,\, \Leftrightarrow \,\,\,} \newcommand{\rec}[1]{\frac{1}{#1}} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\brc}[1]{\left\{ #1 \right\}} \newcommand{\ab}[1]{\left| #1 \right|} \)

1. \( X \) を位相空間とし, \( f \) をその部分集合 \( A \) 上で定義された実数値関数とする.

2. \( x \in X \) とする. \( f \) が \( x \) で除外コーシー条件, すなわち,

任意の \( \e > 0 \) に対して \( x \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ a, b \in (U \sm \brc{x}) \cap A \imp \ab{f(a) - f(b)} < \e, \]

をみたすことと, \( f \) が \( x \) で極限をもつこととは同値だった(関数の極限が存在するための必要十分条件).

3. より強い「コーシー条件」の場合には, 極限値が具体的に指定される.

補題 \( a \in A \) とする. \( f \) が \( a \) でコーシー条件, すなわち,

任意の \( \e > 0 \) に対して \( a \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ b, c \in U \cap A \imp \ab{f(b) - f(c)} < \e, \]

をみたすことと, \( f(a) \) が \( f \) の \( a \) での極限であることとは同値である.

なぜなら:

\( \Rightarrow) \) 任意の \( \e > 0 \) に対して \( a \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ b \in U \cap A \imp \ab{ f(b) - f(a) } < \e, \] であるから. //

\( \Leftarrow) \) 任意の \( \e > 0 \) に対して \( a \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ b \in U \cap A \imp \ab{ f(b) - f(a) } < \frac{\e}{2}. \] したがって, \( b \), \( c \in U \cap A \) ならば, \[ \ab{ f(b) - f(c) } \le \ab{ f(b) - f(a) } + \ab{ f(a) - f(c) } < \frac{\e}{2} + \frac{\e}{2} = \e \] となる. //

1. さて, 本題である.

\( A \) を \( X \) の稠密な部分集合とする. \( f \) が全空間 \( X \) 上に連続に拡張されることと, \( f \) が各 \( x \in X \) でコーシー条件をみたすこととは同値である.

2. 必要性の証明: \( f \) の連続な拡張 \( \olf \col X \to \bbR\) が存在するとする.

先の補題より, \( \olf \) は各 \( x \in X \) でコーシー条件をみたす: 任意の \( \e > 0 \) に対して \( x \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ b, c \in U \imp \ab{\olf(b) - \olf(c)} < \e. \]

特に, \( b \), \( c \in U \cap A \) ならば, \[ \ab{f(b) - f(c)} < \e \] である.

したがって, \( f \) は各 \( x \in X \) でコーシー条件をみたす. //

3. 十分性の証明: \( f \) が各 \( x \in X \) でコーシー条件をみたすとする.

コーシー条件をみたせば, 除外コーシー条件もみたすので, \( f \) は各 \( x \in X \) において極限をもつ. 各 \( x \in X \sm A \) に対してそのような極限値を1つ選び, 次のように関数 \[ \olf \col X \to \bbR \] を定義する: \[ \olf(x) = \begin{cases} f(x) & x \in A, \\[0.8em] \lim_{a \to x} f(a) & x \nin A. \end{cases} \]

上の補題により, \( x \in A \) のときも, \( \olf(x) \) は \( f \) の \( x \) での極限である.

4. \( \olf \) は \( f \) の拡張である: これは定義より自明である.

5. \( \olf \) は連続である: \( x \in X \) とし, \( \e > 0 \) を任意にとる. \( \olf(x) \) は \( f \) の \( x \) での極限であるので, \( x \) のある開近傍 \( U \) が存在し, \[ a \in (U \sm \xset) \cap A \imp \ab{ f(a) - \olf(x) } < \frac{\e}{2}. \] \( \olf \) は \( A \) 上で \( f \) であるので, \[ a \in U \cap A \imp \ab{ f(a) - \olf(x) } < \frac{\e}{2}. \]

\( y \in U \) とする. \( y \) のある開近傍 \( V \) が存在し, \[ a \in V \cap A \imp \ab{ f(a) - \olf(y) } < \frac{\e}{2}. \]

\( U \cap V \) は空でない開集合なので, \( A \) の点を含む. それを1つとり, \( a \) とする: \[ a \in U \cap V \cap A. \]

このとき, \[ \ab{\olf(y) - \olf(x)} \le \ab{\olf(y) - f(a)} + \ab{f(a) - \olf(x)} < \frac{\e}{2} + \frac{\e}{2} = \e \] である. //