稠密な部分集合上で一致する連続写像(2)

\( \newcommand{\olA}{\overline{A}} \newcommand{\rmT}{\mathrm{T}} \newcommand{\i}{\iota} \newcommand{\D}{\Delta} \newcommand{\finv}{f^{-1}} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\yset}{\{ y \}} \newcommand{\emset}{\emptyset} \newcommand{\tm}{\times} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\ssn}{\subsetneq} \newcommand{\col}{\, \colon \,} \newcommand{\mto}{\mapsto} \newcommand{\uto}[1]{\overset{#1}{\longrightarrow}} \newcommand{\huto}[1]{\overset{#1}{\hookrightarrow}} \newcommand{\imp}{\Rightarrow} \newcommand{\fol}{\Leftarrow} \newcommand{\equ}{\,\,\, \Leftrightarrow \,\,\,} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \newcommand{\brk}[1]{\left[ #1 \right]} \)

1. 前回, 次の命題を示した.

\( X \) を位相空間とし, \( Y \) をハウスドルフ空間とする. 2つの連続写像 \[ f, \, g \col X \to Y \] が \( X \) の稠密な部分集合 \( A \) 上で一致するならば, これらは全空間 \( X \) 上でも一致する: \[ f|_A = g|_A \,\,\, \imp \,\,\, f = g. \]

2. \( Y \) に関する仮定を弱め,

\( Y \) が \( \rmT_1 \) である

としても, 命題は成り立つだろうか?

答え: 成り立たない.

以下で反例を構成する.

1. 反例の構成に,

「 余有限位相 」

を用いる.

まず, 余有限位相に関するいくつかの注意から始める.

2.

無限集合 \( X \) に余有限位相を入れる. このとき, \( X \) の部分集合 \( A \) に対して, \[ \text{\( A \) が稠密} \equ \# A = \oo \] が成り立つ.

なぜなら:

\[ \olA = \begin{cases} A \ssn X & \# A < \oo \,\, \text{のとき} \\[0.8em] X & \# A = \oo \,\, \text{のとき} \end{cases} \] であるので, \begin{align*} \text{\( A \) が稠密} &\equ \olA = X \\[0.8em] &\equ \# A = \oo \end{align*} であるから. //

3.

集合 \( X \) および \( Y \) に, それぞれ余有限位相を入れ, 写像 \[ f \col X \to Y \] を考える. このとき, \begin{align*} \text{\( f \) は連続である} \equ &\text{\( f \) は定値である,} \\[0.8em] &\text{または \( f \) による1点の逆像は有限集合である} \end{align*} が成り立つ.

なぜなら:

\( \imp ) \) \( f \) が定値でないとする. \( Y \) の1点は \( Y \) の閉集合であるので, \( f \) による1点の逆像は閉集合, すなわち, \( X \) の有限部分集合か \( X \) 自身である. \( f \) は定値でないので, \( X \) 自身ではありえない. //

\( \fol ) \) 定値写像は連続であるので, 1点の逆像が有限集合である場合を考える. このとき, \( f \) による有限集合の逆像は有限集合である. また, \( Y \) の逆像は \( X \) であるので, \( f \) による閉集合の逆像は閉集合である. //

4.

集合 \( X \) および \( Y \) に, それぞれ余有限位相を入れ, 写像 \[ f \col X \to Y \] を考える. \( U \) が \( X \) の空でない開集合であるとき, \[ \text{\( f|_U \) が連続で定値でない} \,\,\, \imp \,\,\, \text{\( f \) は連続} \] が成り立つ.

なぜなら:

まず, 余有限位相の相対位相はまた, 余有限位相であることに注意する(部分集合に定まる閉集合を見ればよい). したがって, \( U \) に入っている相対位相は, \( U \) 上の余有限位相である.

また, 閉集合 \( U^c \) は有限である. \( U^c = X \) は \( U = \emset \) を意味し, 仮定に反するので.

1点の逆像が有限集合であることを見る. \( y \in Y \) とするとき, \[ \finv(\yset) = \brk{\finv(\yset) \cap U} \cup \brk{\finv(\yset) \cap U^c} \] である.

(1)\( f|_U \) は連続で定値でないので, \( f|_U \) による1点の逆像は有限集合である. したがって, \[ \finv(\yset) \cap U = \prn{f|_U}^{-1}(\yset) \] は有限集合である.

(2)\( U^c \) は有限集合であるので, それより小さい \[ \finv(\yset) \cap U^c \] も有限集合である.

(1)と(2)より, \( \finv(\yset) \) は有限集合である. //

反例の構成:

1. 無限集合 \( X \) に余有限位相を入れると, \( X \) は \( \rmT_1 \) 空間となる.

2. \( F \) を \( X \) の空でない有限部分集合とする. \[ U := F^c \] と置くと, これは \( X \) の無限開部分集合である. また, 先の注意により, \( U \) は \( X \) において稠密である.

3. \( a \) および \( b \) を \( X \) の相異なる2点とし, 写像 \[ f, \, g \col X \to X \] を次のように定義する: \( x \in X \) に対して, \[ f(x) = \begin{cases} x & (x \in U) \\[0.8em] a & (x \in F), \end{cases} \] および \[ g(x) = \begin{cases} x & (x \in U) \\[0.8em] b & (x \in F). \end{cases} \] \( F \) は空でないので, これらは \( X \) 上の異なる関数であるが, \( U \) 上では等しい.

4. \( f \) と \( g \) はともに, \( U \) 上で, 写像 \[ \i \col U \to X, \quad x \mto x \] に等しい.

\( \i \) は \( U \) 上の連続写像であり, また, 定値ではない. \( U \) が無限集合であるからである. したがって, \( f \) と \( g \) は両者とも, \( U \) 上で連続かつ \( U \) 上で定値ではない.

空でない開集合上で連続かつ非定値なので, 先の注意により, 両者とも \( X \) 上の連続写像である.

5. 以上をまとめると, 次のようになる: \( f \) と \( g \) は \( \rmT_1 \) 空間への連続写像であり, 稠密な部分集合上等しいが, \( X \) 上では異なる.

反例が構成されました.

終わり.