非可測集合は存在する(3)

\( \newcommand{\e}{\varepsilon} \newcommand{\l}{\lambda} \newcommand{\L}{\Lambda} \newcommand{\bbR}{\mathbb{R}} \newcommand{\bbN}{\mathbb{N}} \newcommand{\bbZ}{\mathbb{Z}} \newcommand{\bbQ}{\mathbb{Q}} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\emset}{\emptyset} \newcommand{\Cup}{\bigcup} \newcommand{\m}{m^{*}} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\imp}{\Longrightarrow} \newcommand{\equ}{\Longleftrightarrow} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \)

前回の続き.

1. 次のような問いを考えた: \( A \ss \bbR \) を有界な集合とする. 次のような可算無限集合族はあるか?

  1. (等外測度条件)外測度が等しく,
  2. (直和条件)互いに交わらず,
  3. (一様有界条件)一様有界であり,
  4. (被覆条件)\( A \) を被覆する.

2. 次のような答えを得た: 次の2条件をみたす有界集合 \( E \) に対して, 平行移動族 \[ (E + \l)_{\l \in \L}, \quad \L = \bbQ \cap [-b, b] \] を考えればよい(\( b \) は十分大きくとる).

  1. \( E \) の異なる2元の差が無理数であり,
  2. \( A \) の任意の元は \( E \) のある元に有理数を足したもの.

最初の条件は直和条件を保証し, 2番目の条件は被覆条件を保証する.

3. この場合, \( A \) の外測度が正であれば, \( E \) は非可測集合となるのだった. すなわち, 「外測度正の有界集合 \( A \) に対して, 上の2条件をみたす有界集合 \( E \) をとれ. それが非可測集合である.」

4. 前回, \( E \) として \( \bbR / \bbQ \) の有界な完全代表系をとった.

5. 別のとり方もある: \( A \) に \[ x \sim y \quad \overset{\text{def}}{\equ} \quad x - y \in \bbQ \] という同値関係を入れ, その完全代表系をとれ.

6. これによって, 次の事実が示されたことになる: 外測度正の任意の有界集合は, 必ず非可測な部分集合をもつ.

7. "有界" という仮定は落とすことができる: 外測度正の任意の集合は, 必ず非可測な部分集合をもつ.

8. なぜなら, \( A \) を外測度正の集合とするとき, \[ A \cap [n, n+1), \quad n \in \bbZ \] のいずれかは外測度正をもつからである(外測度の劣加法性による).

9. 対照的に, 外測度ゼロの集合の部分集合は, すべて可測である. 外測度ゼロの集合の部分集合も外測度ゼロであり(外測度の単調性), 外測度ゼロの集合は可測であるからである.

10. 終わり.