非可測集合は存在する(1)

\( \newcommand{\bbR}{\mathbb{R}} \newcommand{\oo}{\infty} \newcommand{\ss}{\subset} \newcommand{\Cup}{\bigcup} \newcommand{\m}{m^{*}} \newcommand{\ld}{\ldots} \newcommand{\imp}{\Longrightarrow} \newcommand{\equ}{\Longleftrightarrow} \newcommand{\set}[2]{\left\{ #1 \mathrel{} \middle| \mathrel{} #2 \right\}} \newcommand{\prn}[1]{\left( #1 \right)} \)

1. 実数からなる任意の集合 \( A \ss \bbR \) に対し, そのルベーグ)外測度 \( \m(A) \) を次で定義する: \[ \m(A) := \inf \set{ \sum_{k=1}^{\oo} \ell(I_k) }{ A \ss \Cup_{k=1}^{\oo} I_k, \, I_k \text{はすべて有界開区間}}. \] \( \ell(I_k) \) は開区間 \( I_k \) の長さ(端点の差)である.

2. 実数からなる集合 \( E \ss \bbR \) がルベーグ)可測であることを次で定義する: \[ \text{\( E \) が可測} \overset{\text{def}}{\equ} \text{任意の \( A \ss \bbR \) に対して, \( \m(A) = \m(A \cap E) + \m(A \cap E^c) \)}. \] (可測集合とは, 長さをもつ集合のことです. 何故これが長さもつ集合なのか? これは当然生じる疑問ですが, ここでは考察しません.)

可測集合 \( E \) に対して \( m(E) := m^*(E) \) とおき, これを \( E \) のルベーグ)測度と呼ぶ. (\( m \) は可測集合全体の上で定義された, 長さを与える関数です.)

3. 非可測集合(長さをもたない集合)は存在するだろうか?

1. 測度の等しい互いに交わらない可測集合 \( E_1 \), \( E_2 \), \( \ld \) に対して, 測度の可算加法性より, \[ m \prn{ \Cup_{k=1}^{\oo} E_k} = \sum_{k=1}^{\oo} m(E_k) = 0, \, \oo. \] さらに, \( \Cup_{k=1}^{\oo} E_k \) が有界であれば, その測度は有限であるので, \[ m \prn{ \Cup_{k=1}^{\oo} E_k} = 0. \] したがって, 集合 \( A \ss \bbR \) がこのような集合族で被覆されていれば, 外測度の単調性より, \[ \m(A) = 0. \] 言い換えると, 外測度が正である集合に対しては, このような被覆は存在しない.

2. 「測度が等しい」ではなく, 「外測度が等しい」集合族でなら, 被覆されるかもしれない: 外測度が等しく, 互いに交わらない一様有界な集合族 \( E_1 \), \( E_2 \), \( \ld \) が存在して, \[ A \ss \Cup_{k=1}^{\oo} E_k. \] この場合, 集合 \( E_1 \), \( E_2 \), \( \ld \) がすべて可測であれば, \( \m(A) = 0 \) となってしまうので, \( E_k \) のうちのどれか1つは非可測でなければならない.

3. 外測度正の集合で, このような被覆をもつものは存在するだろうか? このことの答えは肯定的であり, したがって, 非可測集合も存在する.

実際には, より強く, 次のことが成り立ち, その証明も容易である: 任意の有界集合はこのような被覆をもつ.

4. 次回へ続く.