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ニ☆ウ☆ト☆ラ☆ボ

タイトルテスト中

ベクトル空間の係数拡大(1)

\( \newcommand{\l}{\lambda} \newcommand{\s}{\sigma} \newcommand{\t}{\tau} \newcommand{\p}{\varphi} \newcommand{\tensor}{V \otimes_k K} \)\( k \subset K \) を体の拡大とします.

\( k \) 上のベクトル空間 \( V \) から, 自然に \( K \) 上のベクトル空間 \( V_K \) を作れないだろうか?

簡単のために,

  • \( V \) は \( k \) 上 \( n \) 次元,
  • \( K \) は \( k \) 上 \( m \) 次元,
とし,
  • \( e_1, \ldots, e_n \) は \( V \) の \( k \) 基底,
  • \( c_1, \ldots, c_m \) は \( K \) の \( k \) 基底,
とします.

\[ a_1 e_1 + \cdots + a_n e_n \quad (a_i \in K) \] と書けるもの全体を考えたいのです. \begin{multline*} a_1 e_1 + \cdots + a_n e_n \\ = (\l_{11} c_1 + \cdots + \l_{m1} c_m) e_1 + \cdots + (\l_{1n} c_1 + \cdots + \l_{mn} c_m) e_n \quad (\l_{ij} \in k) \end{multline*} なので, \[ \sum_{\substack{1 \le i \le m \\ 1 \le j \le n}} \l_{ij} c_i e_j \quad (\l_{ij} \in k) \] と書けるもの全体を考えたいのです.

これはテンソル積じゃないか!(\( \leftarrow \) ベクトル空間のテンソル積の「テンソル積の存在」)

というわけで, \[ \tensor \] を考えます.

これは定義から \( k \) 上のベクトル空間ですが, 下で見るように, \( K \) 上のベクトル空間の構造ももちます. 問題は, \( K \) を \( \tensor \) にどう作用させるかです.

\( K \) の \( \tensor \) への作用

さて, \( c \in K \) とします. このとき, \[ \t_c \colon V \times K \to \tensor, \quad (v,a) \mapsto v \otimes (ca) \] は \( k \) 双線形写像なので, 図式

\( V \times K \) \( \stackrel{\large \otimes}{\longrightarrow} \) \( \tensor \)
\( \longrightarrow \) \( \phantom{\p_c} \downarrow \p_c \)
\( \tensor \)
\( V \times K \) \( \stackrel{\large \otimes}{\longrightarrow} \) \( \tensor \)
\( \begin{matrix} {} \\ \t_c \,\,\, \end{matrix} \) \( \phantom{\p_c} \downarrow \p_c \)
\( \tensor \)
を可換にする \( k \) 線形写像 \[ \p_c \colon \tensor \to \tensor \] がただ1つ存在します.

この写像で, \( K \) の \( \tensor \) への作用を定めます: \[ c \cdot x := \p_c(x) \quad (c \in K, \, x \in \tensor). \] このとき, \[ c \cdot (v \otimes a) = v \otimes (ca) \quad (c \in K, \, v \in V, \, a \in K) \] です.

この作用で, \( \tensor \) は \( K \) 上のベクトル空間となります.

\( c \in k \) のときは, \( k \) 上のベクトル空間としてのスカラー倍に一致します. (\( \leftarrow\) ここの補題を使えばよい.)

つまり, \( K \) の作用を \( k \) に制限すると, もとのベクトル空間に戻ります.

終わり.
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