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ニ☆ウ☆ト☆ラ☆ボ

タイトルテスト中

同伴行列 あるいは コンパニオン行列 (2)

\( \newcommand{\C}{\mathbb{C}} \newcommand{\a}{\alpha} \newcommand{\q}{\C[x] \, / \, (p(x))} \newcommand{\qq}{\C[x] \, / \, ((x-\a_1)^{n_1}) \, \oplus \, \cdots \, \oplus \, \C[x] \, / \, ((x-\a_r)^{n_r})} \newcommand{\qqfactor}{\C[x] \, / \, ((x-\a_i)^{n_i})} \newcommand{\iso}{\, \stackrel{\sim}{\to} \,} \)多項式

\[ p(x) = x^n + a_{n-1} x^{n-1} + \cdots + a_1 x + a_0 \in \C[x] \]

に対して, そのコンパニオン行列

\[ \begin{pmatrix} 0 & & & & -a_0 \\ 1 & 0 & & & -a_1 \\ & 1 & \ddots & & \vdots \\ & & \ddots & 0 & -a_{n-2} \\ & & & 1 & -a_{n-1} \end{pmatrix} \]

の固有多項式は \( p(x) \) となる. このことに対する以下の証明は, コンパニオン行列の由来を明らかにする.

大まかには次のような感じ.

1. \( p(x) \) の因数分解を

\[ p(x) = (x - \a_1)^{n_1} \cdots (x - \a_r)^{n_r} \]

とすると, 環の同型

\[ \q \iso \qq \]

が成り立つ.

2. \( \q \) における \( x \) 倍写像の, 基底

\[ 1, \, x, \, x^2, \, \ldots, \, x^{n-1} \]

に関する行列表示は,

\[ A = \begin{pmatrix} 0 & & & & -a_0 \\ 1 & 0 & & & -a_1 \\ & 1 & \ddots & & \vdots \\ & & \ddots & 0 & -a_{n-2} \\ & & & 1 & -a_{n-1} \end{pmatrix}. \]

3. \( \qqfactor \) における \( x \) 倍写像の, 基底

\[ 1, \, (x-\a_i), \, (x-\a_i)^2, \, \ldots, \, (x-\a_i)^{n_i-1} \]

に関する行列表示は,

\[ J_i = \begin{pmatrix} \a_i & & & \\ 1 & \a_i & & \\ & \ddots & \ddots & \\ & & 1 & \a_i \end{pmatrix} \quad (n_i \times n_i). \]

4. \( A \) の固有多項式は, \( J_i \) の固有多項式の積:

\begin{align} \Phi_A(x) &= \Phi_{J_1}(x) \cdots \Phi_{J_r}(x) \\[0.5em] &= (x - \a_1)^{n_1} \cdots (x - \a_r)^{n_r} \\[0.5em] &= p(x). \end{align}

もう少し詳しく見てみます.

1. 環準同型

\begin{align} \varphi \, \colon \, \C[x] &\longrightarrow \qq, \\[0.5em] f &\longmapsto \left( \, [f], \, \ldots, \, [f] \, \right) \end{align}

は全射で,

\[ \ker \varphi = \left( (x - \a_1)^{n_1} \right) \cap \cdots \cap \left( (x - \a_r)^{n_r} \right) = \left( p(x) \right) \]

なので. いわゆる中国式剰余定理というやつです.

2. \( \q \) の基底

\[ 1, \, x, \, x^2, \, \ldots, \, x^{n-1} \]

(もちろん同値類 \( [x^i] \) の意味ですが, 煩わしいので括弧は付けません.) を \( x \) 倍してみます:

\begin{align} x \cdot 1 &= x, \\[0.5em] x \cdot x &= x^2, \\[0.5em] & \vdots \\[0.5em] x \cdot x^{n-2} &= x^{n-1}, \\[0.5em] x \cdot x^{n-1} &= x^{n} = -a_0 - a_1 x - \cdots - a_{n-1} x^{n-1}. \end{align}

したがって, \( x \) 倍写像の行列表示は,

\[ \begin{pmatrix} 0 & & & & -a_0 \\ 1 & 0 & & & -a_1 \\ & 1 & \ddots & & \vdots \\ & & \ddots & 0 & -a_{n-2} \\ & & & 1 & -a_{n-1} \end{pmatrix} \]

となります.

3. \( \qqfactor \) の基底

\[ 1, \, (x-\a_i), \, (x-\a_i)^2, \, \ldots, \, (x-\a_i)^{n_i-1} \]

を \( x \) 倍してみます:

\begin{align} x \cdot 1 &= (x-\a_i) + \a_i, \\[0.5em] x \cdot (x-\a_i) &= (x-\a_i)^2 + \a_i (x-\a_i), \\[0.5em] & \vdots \\[0.5em] x \cdot (x-\a_i)^{n_i-2} &= (x-\a_i)^{n_i-1} + \a_i (x-\a_i)^{n_i-2}, \\[0.5em] x \cdot (x-\a_i)^{n_i-1} &= (x-\a_i)^{n_i} + \a_i (x-\a_i)^{n_i-1} = \a_i (x-\a_i)^{n_i-1}. \end{align}

したがって, \( x \) 倍写像の行列表示は,

\[ \begin{pmatrix} \a_i & & & \\ 1 & \a_i & & \\ & \ddots & \ddots & \\ & & 1 & \a_i \end{pmatrix} \quad (n_i \times n_i) \]

となります.

4. 図式

\( \q \) \( \iso \) \( \qq \)
\( \times x \downarrow \phantom{\times x} \) \( \phantom{(\times x, \ldots, \times x)} \downarrow (\times x, \, \ldots, \, \times x) \)
\( \q \) \( \iso \) \( \qq \)

は可換. したがって, \( \times x \) と \( (\times x, \, \ldots, \, \times x) \) の固有多項式は同じ. よって, \( A \) と

\[ \begin{pmatrix} J_1 & & \\ & \ddots & \\ & & J_r \end{pmatrix} \]

の固有多項式は同じ. これより,

\[ \Phi_A(x) = p(x). \]

多項式 \( p(x) \) の根を数値計算するのに, そのコンパニオン行列の固有値を数値計算するという方法があるなと思ったんですが, これって効率が悪いんでしょうか?

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