ニ☆ウ☆ト☆ラ☆ボ

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単因子

前回見たように, 整数成分の任意の行列を基本変形

\[ \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix} \longrightarrow \begin{pmatrix} d_1 & & & & \quad \\ & d_2 & & & \quad \\ & & \ddots & & \quad \\ & & & d_r & \quad \\ & & & & \quad \end{pmatrix} \]

というふうに変形できます. 対角成分以外を 0 にしてしまえるわけです. 実は, さらに強く, 条件

\[ d_1 \mid d_2 \mid \cdots \mid d_r \]

が成り立つように変形することもできます. 以下で, その理由を見てみましょう. 簡単のために 2 × 3 行列を考えます.

\[ A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} \end{pmatrix} \, . \]

1. 変形の基本方針は, (1, 1) 成分の絶対値をどんどん小さくしていくことです. ただし, 0 にしてはいけません.

2. A の成分の中に (1, 1) 成分の倍数でないようなものがあるならば, 基本変形で (1, 1) 成分の絶対値を今より小さくできます.

3. 1 行目と 1 列目の中に (1, 1) 成分の倍数でないものがあれば, これは前回と同じようにしてできます.

4. そうでない場合を考えます. 例えば, \( a_{23} \) が \( a_{11} \) の倍数でないとします. \[ a_{13} = a_{11} \times q \] とすると, 列の基本変形で,

\[ A \longrightarrow \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & 0 \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} - a_{21} \times q \end{pmatrix} \longrightarrow \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{11} \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} - a_{21} \times (q-1) \end{pmatrix} \] とできます. \[ a_{23} = a_{11} \times q + r, \quad 0 < r < |a_{11}| \] ならば, 行の基本変形を行い, \[ \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{11} \\ * & * & r \end{pmatrix} \]

という形にもっていけます(\( a_{21} \) が \( a_{11} \) の倍数であることに注意).

5. あとは, 行の入れ換えと列の入れ換えを行うだけです. (1, 1) 成分が r となり, もとより絶対値が小さくなりました.

6. こうして (1, 1) 成分の絶対値をどんどん小さくしていくうちに, やがて, 行列のすべての成分が (1, 1) 成分の倍数になります. したがって, 基本変形により

\[ \begin{pmatrix} d_1 & 0 & 0 \\ 0 & * & * \end{pmatrix} \]

という形にできます. このとき, \( * \) と書いてある部分は, \( d_1 \) の倍数になっています.

7. 以上の操作を内側の行列へ内側の行列へと行っていくと, 望み通りの形が得られます.

さて, \[ \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \vdots & & \vdots \\ a_{m1} & \cdots & a_{mn} \end{pmatrix} \longrightarrow \begin{pmatrix} d_1 & & & & \quad \\ & d_2 & & & \quad \\ & & \ddots & & \quad \\ & & & d_r & \quad \\ & & & & \quad \end{pmatrix} , \quad d_1 \mid d_2 \mid \cdots \mid d_r \]

とできることが分かったわけですが, ここに現れた

\[ (d_1, d_2, \ldots, d_r) \]

をもとの行列の単因子といいます.

\[ d_i > 0 \]

としておけば, 一意的に定まることが知られています.

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