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複素整数と有限体の世界(37)ー第 IV 部 素数の分解法則ー整域上の方程式の解の個数(1)

次の命題の証明が終われば, 仮説 A'' の証明は完成です:

\( p \) を有理素数とする. \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) 上の \( n \) 次方程式 (\( n \ge 0 \)) の解の個数は \( n \) 個以下である.

今回は, 証明のための準備をします.

\( n \)次関数

\( R \) を可換環とし, \( f \, \colon \, R \rightarrow R \) とします. ある \[ a_0, \,\, a_1, \,\, \ldots, \,\, a_n \in R, \quad a_0 \neq 0 \] に対して, \[ f(x) = a_0 x^n + a_1 x^{n-1} + \cdots + a_n \quad \left( \, \forall x \in R \, \right) \] が成り立つとき, \( f \) を \( R \) 上の

”\( \, n \) 次関数 ”
と呼びます. (「 \( \forall \) 」 は 「任意の」 を意味する論理記号で, 「 \( \forall x \in R \) 」 は 「 任意の \( x \in R \) に対して 」 と読みます.)

\( n \) が一意的に定まるとは限らないことを注意しておきます. 例えば, \( R = \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) (\( p \) は素数)のとき, 1次関数 \[ f(x) = x \] は \( p \) 次関数でもあります: \[ f(x) = x^p. \] (何故でしょう? ヒント: フェルマーの小定理.)

\( f \, \colon \, R \rightarrow R \) とします. \[ f(\alpha ) = 0 \] となる \( \alpha \in R \) を関数 \( f \) の ”根” (「こん」と読む)と言います.

数分解
因数分解に関する以下の命題が成り立ちます:
\( R \) を可換環とする. \( n \ge 1 \) とし, \( f \) を \( R \) 上の \( n \) 次関数とする. \( \alpha \in R \) が \( f \) の根であれば, \[ f(x) = (x - \alpha) \, g(x) \quad \left( \, \forall x \in R \, \right) \] となる \( R \) 上の \(n-1\) 次関数 \( g \) が存在する.

\[ f(x) = a_0 x^n + a_1 x^{n-1} + \cdots + a_n \quad \left( a_j \in R, \, a_0 \neq 0 \right) \] とします. 各 \( j \) に対して, \[ x^{\, j} = \bigl\{ (x - \alpha) + \alpha \bigr\}^{\, j} \] を展開することにより, \( f(x) \) は \[ f(x) = a_0 (x - \alpha)^n + b_1 (x - \alpha)^{n-1} + \cdots + b_n \quad \left( b_j \in R \right) \] という形に書けます. \( x = \alpha \) を両辺に代入すると, \[ 0 = b_n \] が得られるので, \begin{align} f(x) &= a_0 (x - \alpha)^n + b_1 (x - \alpha)^{n-1} + \cdots + b_{n-1} (x - \alpha) \\[0.5em] &= (x - \alpha) \, \left\{ a_0 (x - \alpha)^{n-1} + b_1 (x - \alpha)^{n-2} + \cdots + b_{n-1} \right\}. \end{align} これは, 命題の主張を意味します. (証明終)