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複素整数と有限体の世界(36)ー第 IV 部 素数の分解法則ー仮説 A'' の検証(2)

\( (\mathbb{Z} / p \mathbb{Z})^{\times} \) (\( p \) は有理奇素数) から自分自身への冪乗写像 \begin{align} f \, \colon \, & \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \longrightarrow \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times}, \quad X \longmapsto X^2, \\[0.5em] g \, \colon \, & \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \longrightarrow \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times}, \quad X \longmapsto X^{\frac{p-1}{2}} \end{align} に対して,     \[ \DeclareMathOperator{\im}{Im} \im \, f \subset g^{-1}( \, [1] \, ) \tag{*} \] が成り立ちます. 私たちは     \[ \DeclareMathOperator{\im}{Im} \im \, f = g^{-1}( \, [1] \, ) \tag{**} \] かどうかを調べたいのでした.

説 A'' の証明(2)

包含関係があるので, 集合の個数に関する等式 \[ \left| \, \im \, f \, \right| = \left| \, g^{-1}( \, [1] \, ) \, \right| \] から集合に関する等式**が従います(有限集合 \( S \) の個数を \(| \, S \, |\) で表すことにします). 包含関係により, \[ \left| \, \im \, f \, \right| \le \left| \, g^{-1}( \, [1] \, ) \, \right| \] が分かっているので, 不等式 \[ \left| \, \im \, f \, \right| \ge \left| \, g^{-1}( \, [1] \, ) \, \right| \] を示しましょう.

\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \)上の方程式の解の個数

上の不等式を示すために, 以下の命題を利用します:

\( p \) を有理素数とする. \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) 上の \( n \) 次方程式 (\( n \ge 0 \)) の解の個数は \( n \) 以下である.

\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) 上の \( n \) 次方程式とは, \[ A_0 X^n + A_1 X^{n-1} + \cdots + A_n = [0] \quad \left(\, A_j \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z}, \,\, A_0 \neq [0] \, \right) \] という形の方程式のことです.

上の命題において, \( p \) が素数という条件は重要で, これがなければ命題は成り立ちません. 例えば, \( \mathbb{Z} / 6 \mathbb{Z} \) 上の 2 次方程式 \[ X^2 + X = [0] \quad \bigl( \, \Longleftrightarrow \,\, X(X+1) = [0] \, \bigr) \] の解は \[ X = [0], \,\, [2], \,\, [5] \] の3つあります.

この命題の証明は次回述べます.

説 A'' の証明(3)

仮説 A'' の証明に戻ります. \( p \) は有理奇素数です.

  \( \left( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \) \( \xrightarrow{\quad f \quad} \) \( \left( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \)  
\( f^{-1}(A_1) \,\,\, \left\{ \begin{matrix} {} \\[3.5em] {} \end{matrix} \right. \) \( \bullet \) \( \xrightarrow{\qquad \quad} \) \( \vdots \)  
\( \vdots \)   \( \bullet \,\, A_1 \) \( \left. \begin{matrix} {} \\[7em] {} \end{matrix} \right\} \,\,\, \im f \)
\( \bullet \) \( \xrightarrow{\qquad \quad} \) \( \bullet \,\, A_2 \)
  \( \vdots \)   \( \vdots \)
\( f^{-1}(A_r) \,\,\, \left\{ \begin{matrix} {} \\[3.5em] {} \end{matrix} \right. \) \( \bullet \) \( \xrightarrow{\qquad \quad} \)
\( \vdots \)   \( \bullet \,\, A_r \)
\( \bullet \) \( \xrightarrow{\qquad \quad} \) \( \vdots \)  

\( \im \, f \) が \( r \) 個の要素 \[ A_1, \quad A_2, \quad \ldots, \quad A_r \quad \left( \in \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \right) \] で構成されているとします. このとき, 上の図から分かるように, 集合 \( (\mathbb{Z} / p \mathbb{Z})^{\times} \) は \[ f^{-1}(A_1), \quad f^{-1}(A_2), \quad \ldots, \quad f^{-1}(A_r) \] の \( r \) 個の部分集合に分割されます. したがって, 集合の個数に関する等式     \[ \left| \, \left(\mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \right)^{\times} \, \right| = \left| \, f^{-1}(A_1) \, \right| + \left| \, f^{-1}(A_2) \, \right| + \cdots + \left| \, f^{-1}(A_r) \, \right| \tag{***} \] が成り立ちます. 右辺の \( j \) 番目の項 \[ \left| \, f^{-1}(A_j) \, \right| \] が方程式 \( X^2 = A_j \) の解の個数であることに注意すると, 方程式の解の個数に関する上の命題より, \[ \left| \, f^{-1}(A_j) \, \right| \le 2 \] と分かります. これを用いて, ***より, 不等式 \[ p - 1 \le 2 \, r = 2 \cdot \left| \, \im \, f \, \right| \] が得られます. 再び, 方程式の解の個数に関する命題を使って, \[ \left|\, \im \, f \, \right| \ge \frac{p-1}{2} \ge \left| \, g^{-1}( \, [1] \, ) \, \right|. \] これが証明したいことでした. (証明終)