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複素整数と有限体の世界(34)ー第 IV 部 素数の分解法則ー無限の世界から有限の世界へ(2)

今回の目標は仮説 A' を有限体の言葉で表現することです. 仮説 A' とは, 以下の命題のことでした:

(仮説 A') 有理奇素数 \( p \) に対して, \begin{align} &x^{2} + y^{2} \equiv 0, \,\, x \not\equiv 0, \,\, y \not\equiv 0 \!\!\! \pmod{p} \,\,\, \text{が有理整数解をもつ} \\[0.5em] &\Longleftrightarrow \,\,\, p \equiv 1 \!\!\! \pmod{4}. \end{align}
限体の言葉で

次の命題が成り立ちます:

\( p \) を有理奇素数とする. このとき,
「 \( x^{2} + y^{2} \equiv 0 \), \( \, x \not\equiv 0 \), \( \, y \not\equiv 0 \pmod{p} \, \) が有理整数解をもつ 」
ことと
「 \( X^2 + [1] = [0] \) をみたす \( X \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) が存在する 」
ことは同値である.
明 \( ( \Rightarrow ) \)

方程式 \[ x^2 + y^2 \equiv 0, \quad x \not\equiv 0, \quad y \not\equiv 0 \,\,\, \pmod{p} \] をみたす有理整数 \(x \), \( y \) をとり, \[ X := [x], \quad Y := [y] \quad \left( \, \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \, \right) \] と置きます. このとき, \[ X^2 + Y^2 = [0], \quad X \neq [0], \quad Y \neq [0]. \] 左端の式の両辺に \( (Y^{-1})^2 \) をかけると(\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は体でした), \[ \left( X Y^{-1} \right)^2 + [1] = [0]. \] これで示されました. (証明終)

明 \( ( \Leftarrow ) \)

方程式 \[ X^2 + [1] = [0] \tag{*} \] をみたす \( X \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) をとり, \[ X = [x], \quad x \in \mathbb{Z} \] とします. 等式より, \( X \neq [0] \) なので, \[ x \not\equiv 0 \pmod{p} \] となっています. また, 式に \( X = [x] \) を代入すると, \[ [x^2 + 1] = [0] \] が得られますが, これを合同式に書き換えると, \[ x^2 + 1^2 \equiv 0 \pmod{p} \] となります. これは, 結論の成立を意味します. (証明終)

説 A''

上の命題により, 仮説 A' は次のように言い換えられます:

(仮説 A'') 有理奇素数 \( p \) に対して, \begin{align} &X^{2} = [-1] \,\,\, \text{をみたす} \,\,\, X \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \,\,\, \text{が存在する} \\[0.5em] &\Longleftrightarrow \,\,\, p \equiv 1 \!\!\! \pmod{4}. \end{align}

不思議な感じがしますが, 整数という無限の世界の問題であったはずの仮説 A が, 有限体という有限の世界の問題に置き換わってしまいました. 私たちは次回以降, この仮説 A'' の証明を目標とします.

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