レ☆ト☆ロ☆ラ☆ボ

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複素整数と有限体の世界(31)ー第 IV 部 素数の分解法則ー有限体(5)

  • 前回:
    \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) (\( p \) は有理素数)が整域であることを示しました.
  • 今回:
    \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) が ”体” (「たい」と読む)であることを示します.

”体” の定義から始めましょう.

次の条件をみたす可換環 \[ (R, \,\, +, \,\, \cdot, \,\, 0, \,\, 1) \] を ”体” といいます:

  1. \( 0 \neq 1 \,\,\,\, \left( \Longleftrightarrow \, R \neq \{ 0 \} \right) \).
  2. 任意の \( 0 \neq a \in R \) に対して, \( ab = 1 \) となる \( b \in R \) が存在する.

集合 \( R \) 上に定義された構造 \[ +, \quad \cdot, \quad 0, \quad 1 \] を明示する必要がないときには, これを省略して, 単に

「 \( R \) は体 」
ということもあります.

体は整域でもあります(何故でしょう?).

\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は体
素数 \( p \) に対して, \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は体になります. 以下にこのことの証明を述べます.

\( [0] \neq A \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) とし, \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) の要素の列 \[ A \, [0], \quad A \, [1], \quad \ldots, \quad A \, [p-1] \tag{*} \] を考えます. \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は整域なので, これらの中に同じ要素が 2 度現れることはありません. したがって, この列は, \[ [0], \quad [1], \quad \ldots, \quad [p-1] \] を並べ替えたものになっています. そうすると, 列のどこかに \( [1] \) があることになり, ある \( 0 \le b < p \) に対して \[ A \, [b] = [1] \] が成り立つことになります. これは, 私たちが示したいこと, すなわち, \( A \) が可逆であることを示しています. (証明終)

限体
有限個の要素からなる体を ”有限体” と呼びます. 上で示したことから, \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は有限体です. 要素の数が素数の冪である有限体が素数の冪ごとに本質的にはただ1つ存在し, それら以外に有限体は存在しないことが知られています.