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複素整数と有限体の世界(30)ー第 IV 部 素数の分解法則ー有限体(4)

  • 前回:
    \( \mathbb{Z} / m \mathbb{Z} \) (\( m \) は正の有理整数)が可換環であることを示しました.
  • 今回:
    \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) (\( p \) は有理素数)が ”整域” であることを示します.

”整域” の定義から始めましょう.

次の条件をみたす可換環 \[ (R, \,\, +, \,\, \cdot, \,\, 0, \,\, 1) \] を ”整域” といいます:
  1. \( 0 \neq 1 \). \( \, \) (これは \( \, R \neq \{ 0 \} \, \) と同値です. 何故でしょう?)
  2. 任意の \( \, a \), \( b \in R \, \) に対して, \( \, a \, b = 0 \, \) ならば \( \, a = 0 \, \) または \( \, b = 0 \).
集合 \( R \) 上に定義された構造 \[ +, \quad \cdot, \quad 0, \quad 1 \] を明示する必要がないときには, これを省略して,
「 \( R \) は整域 」
ということもあります.
通因子で割る
整域においては, 0 でない共通因子で割ることができます:
\( R \) を整域とし, \( a \), \( b \), \( c \in R \) とする. \( a \neq 0 \) のとき, \[ a\, b = a \, c \,\,\, \Longrightarrow \,\,\, b = c. \]

前提条件の両辺に \( a \, (-c) \) を加えます. \( a \, (-c) \) は \( a \, c \) の加法逆元なので(何故でしょう?), \[ a \, b + a \, (-c) = 0. \] 分配法則を用いると, \[ a \, \bigl(b + (-c) \bigr) = 0 \] ですが, \( R \) は整域で \( a \neq 0 \) なので, \[ b + (-c) = 0. \] これより, \[ b = c \] が得られます. (証明終)

\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は整域
素数 \( p \) に対して, \( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) は整域になります. 以下にこのことの証明を述べます.
1 つ目の条件:

\( \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) の要素の個数は \( p \) なので, \[ \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \neq \left\{ 0 \right\}. \]

2 つ目の条件:

\( A \), \( B \in \mathbb{Z} / p \mathbb{Z} \) とし, \( A B = [0] \) とします. \[ A = [a], \quad B = [b] \qquad \left(a, b \in \mathbb{Z} \right) \] と書くとき, \[ [a \, b] = [0] \] ですが, これは \[ p \mid a \, b \] を意味します. \( p \) は素数なので, \[ p \mid a \quad \text{または} \quad p \mid b. \] これは, \[ [a] = [0] \quad \text{または} \quad [b] = [0] \] を意味します. (証明終)