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複素整数と有限体の世界(27)ー第 IV 部 素数の分解法則ー有限体(1)

仮説 B'' の検証作業が前回までで終わりました. 私たちに残された課題は, 仮説 A の検証です. 今回からは, 仮説 A の検証に取り組みます.

(仮説 A) 奇素数 \( p \) に対して, \[ x^{2} + y^{2} = p \,\, \text{が整数解をもつ} \,\,\, \Longleftrightarrow \,\,\, p \equiv 1 \!\!\! \pmod{4}. \]

さて, 仮説 A は実際に正しいのですが, この不思議な命題の成り立つ根拠は "有限体" と呼ばれる有限個の数のなす体系の中にあります. 私たちの目標はこの根拠へと辿り着くことですので, 私たちはここから先, "有限体" の世界へと足を踏み入れます.

余類

\( m > 0 \) を有理整数とし, 任意の有理整数 \( k \) に対して, \begin{align} [k] := &\left\{ x \in \mathbb{Z} \mid x \equiv k \!\!\! \pmod{m} \right\} \\[0.5em] = &\left\{ \ldots, \,\, k-m, \,\, k, \,\, k+m, \,\, k+2m, \,\, \ldots \right\} \end{align} と定義します(有理整数全体の集合を \( \mathbb{Z} \) で表します). これらの集合の各々を

「 法 \( m \) に関する剰余類 」
と呼びます. 法 \( m \) に関する剰余類全体からなる集合は \[ \mathbb{Z} \, / \, m \mathbb{Z} \] と書かれます.(これは, 環をイデアルで割るという一般的な記法です. ここでは, 有理整数環 \( \mathbb{Z} \) を \( m \) の倍数全体のなすイデアル \( m \mathbb{Z} \) で割っています. 抽象代数学を勉強すれば理解できますが, ここでは気にする必要はないでしょう.)

\( \vdots \) \( \vdots \) \( \vdots \) \( \) \( \vdots \)
\( 0 \) \( 1 \) \( 2 \) \( \cdots \) \( m - 1 \)
\( m \) \( m + 1 \) \( m + 2 \) \( \cdots \) \( 2m - 1 \)
\( 2m \) \( 2m + 1 \) \( 2m + 2 \) \( \cdots \) \( 3m - 1 \)
\( \vdots \) \( \vdots \) \( \vdots \) \( \) \( \vdots \)
\( \uparrow \) \( \uparrow \) \( \uparrow \) \( \) \( \uparrow \)
\( \begin{array}{c} \vdots \\ {\scriptstyle \|} \\ [0] \\ {\scriptstyle \|} \\ [m] \\ {\scriptstyle \|} \\ [2m] \\ {\scriptstyle \|} \\ \vdots \end{array} \) \( \begin{array}{c} \vdots \\ {\scriptstyle \|} \\ [1] \\ {\scriptstyle \|} \\ [m + 1] \\ {\scriptstyle \|} \\ [2m + 1] \\ {\scriptstyle \|} \\ \vdots \end{array} \) \( \begin{array}{c} \vdots \\ {\scriptstyle \|} \\ [2] \\ {\scriptstyle \|} \\ [m + 2] \\ {\scriptstyle \|} \\ [2m + 2] \\ {\scriptstyle \|} \\ \vdots \end{array} \) \( \begin{array}{c} \vdots \\ {\scriptstyle \|} \\ [m - 1] \\ {\scriptstyle \|} \\ [2m - 1] \\ {\scriptstyle \|} \\ [3m - 1] \\ {\scriptstyle \|} \\ \vdots \end{array} \)

図から分かるように, 法 \( m \) に関する剰余類はちょうど \( m \) 個あります. \[ [0], \,\,\, [1], \,\,\, [2], \,\,\, \ldots, \,\,\, [m - 1] \] の \( m \) 個です. これらはすべて異なっており, どのような \( [k] \) もこれらのいずれかと等しくなります.

これら \( m \) 個の剰余類は自然に加法と乗法を備えており, 有限個の要素からなる数の体系を形成しています. これが冒頭の "有限体" です. 加法と乗法がどのように定義されるかについては, 次回述べたいと思います.

次の事実は後に使うので, 特に命題として取り出しておきます:

有理整数 \( a \), \( b \) に対して, \[ [a] = [b] \,\,\, \Longleftrightarrow \,\,\, a \equiv b \!\!\! \pmod{m}. \]

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