レ☆ト☆ロ☆ラ☆ボ

タイトルテスト中

複素整数と有限体の世界(25)ー第 III 部 素因数分解の一意性ー割り算の余り(2)

今回と次回の記事では, 次のことを厳密に, 幾何学的直感を用いない形で証明します.

複素整数 \( \alpha \) と複素整数 \( \beta \neq 0 \) に対して, \[ \alpha = \kappa \, \beta + \rho, \quad N \left(\rho \right) < N \left(\beta \right) \] となる複素整数 \( \kappa \), \( \rho \) が存在する.
殊な場合への帰着

上の命題は, 次の特殊な場合から導かれます:

複素整数 \( \alpha \) と有理整数 \( N > 0 \) に対して, \[ \alpha = \kappa \, N + \rho, \quad N \left(\rho \right) < N^2 \] となる複素整数 \( \kappa \), \( \rho \) が存在する.

実際に, もとの命題が導びかれる様子を見てみましょう:

  1. 特殊な場合の命題より, \[ \alpha \, \overline{\beta} = \kappa \, N \left(\beta \right) + \rho', \quad N \left(\rho' \right) < N \left(\beta \right)^2 \] となる \( \kappa \), \( \rho' \) が存在する.
  2. この式から, \( \rho' \) が \( \overline{\beta} \) の倍数と分かるので, \[ \rho' = \rho \, \overline{\beta} \] とおく.
  3. これを最初の式に代入して, \[ \alpha \, \overline{\beta} = \kappa \, N \left(\beta \right) + \rho \, \overline{\beta}, \quad N \left(\rho \, \overline{\beta} \right) < N \left(\beta \right)^2 \] を得, この両辺を \( \overline{\beta} \), \( N \bigl(\overline{\beta} \bigr) \) で割って, \[ \alpha = \kappa \, \beta + \rho, \quad N \left(\rho \right) < N \left(\beta \right) \] を得る.

以上で, この特殊な場合さえ示されればよいことが分かりました. その証明は, 次回述べます.