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複素整数と有限体の世界(22)ー第 III 部 素因数分解の一意性ー割り算の余り(1)

私たちに残された作業は, 仮説 A と仮説 B'' の検証です. まずは 仮説 B'' に取り組みます.

り算の余り

割り算の余りに関して, 有理整数の場合に類似した, 次の命題が成り立ちます. 仮説 B'' の証明において, 中心的な役割を果たす命題です.

複素整数 \( \alpha \) と複素整数 \( \beta \neq 0 \) に対して, \[ \alpha = \kappa \, \beta + \rho, \quad N \left(\rho \right) < N \left(\beta \right) \] となる複素整数 \( \kappa \), \( \rho \) が存在する.

主張している内容は,

「割り算の余り \( \rho \) を, 割る数 \( \beta \) よりも小さくとれる」
ということです.

以下, この命題の証明について述べます. 証明のアイディアは幾何学的なものであるので, まずは分かりやすいように, 幾何学的な説明を行います. 厳密な証明は, 仮説 B'' の導出後に述べたいと思います.

何学的説明(1)

複素整数(より一般に複素数)は座標平面上の点, あるいは座標平面上のベクトルと見做せます. 複素整数 \[ z = x + i \, y \] を座標 \( (x,y) \) をもった点, あるいはベクトル \( (x,y) \) と見るわけです. ベクトルと見るときには, \[ i \, z = -y + i \, x \] は \( z \) に直交するベクトルです(内積が 0 になるからです).

何学的説明(2)

2 つのベクトル

「\( \, \beta \, \)」\( \quad \)と\( \quad \)「\( \, i \, \beta \, \)」
で作られる格子を考えます. すなわち, \[ x \, \beta + y \, \left(i \, \beta \right) = \left(x + i \, y \right) \, \beta \quad \left( x,\, y \text{ は整数} \right) \] で与えられる点の全体を考えます. これらは \( \beta \) の倍数全体となっています.

\( 0 \) \( \beta \) \( i \, \beta \)
何学的説明(3)

各格子点の周りに一辺が

\( \left| \, \beta \, \right| := \sqrt{ N \left( \beta \right) } \, = \, \) ベクトル \( \beta \) の大きさ
の正方形を作り, その内部(周を含む)をその格子点の "縄張り" とします.

格子点の "縄張り" \( 0 \) \( \beta \) \( i \, \beta \) \( \left| \beta \right| \) \( \left| \beta \right| \)

これらの縄張りは平面全体を覆い尽くすので, 複素整数 \( \alpha \) はある格子点の縄張りに属していなければなりません.

何学的説明(4)

複素整数 \( \alpha \) が格子点 \[ \kappa \, \beta \quad \left(\text{\( \kappa \) は複素整数} \right) \] の縄張りに入っているとします.

\( \kappa \, \beta \) \( \alpha \) \( \rho \) \( \left| \beta \right| \)

このとき, \[ \rho := \alpha - \kappa \, \beta \] に対して, \[ \left| \, \rho \, \right| \, < \, \left| \, \beta \, \right|, \] すなわち, \[ N \left(\rho \right) \, < \, N \left(\beta \right) \] が成り立つので(ノルムは距離の 2 乗です), \[ \alpha = \kappa \, \beta + \rho, \quad N \left(\rho \right) < N \left(\beta \right). \] これが求める結論でした.

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