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複素整数と有限体の世界(17)ー第 II 部 基本概念ー仮説 B の検証(2)

前回, 仮説 B の証明のために仮説 B' (素因数分解の一意性)を導入しました:

(仮説 B') 互いに同伴でない複素素数 \( \pi_1 \), \( \ldots \), \( \pi_r \) と単数 \( \delta \), \( \varepsilon \) に対して, \[ \delta \, \pi_1^{a_1} \, \cdots \, \pi_r^{a_r} = \varepsilon \, \pi_1^{b_1} \, \cdots \, \pi_r^{b_r} \quad \left(a_h, \, b_h \ge 0 \right) \] ならば, \[ \delta = \varepsilon, \quad a_h = b_h \,\,\, \left(1 \le h \le r \right) . \]

説 B''

有理整数の場合と同じように(知らなくても全く問題ありません), 仮説 B' は次の仮説 B'' から導かれます:

(仮説 B'') \( \alpha \), \( \beta \) を複素整数とし, \( \pi \) を複素素数とする. このとき, \[ \pi \mid \alpha \, \beta \,\,\, \Longrightarrow \,\,\, \pi \mid \alpha \,\,\, \text{または} \,\,\, \pi \mid \beta. \]
仮説 B'' に基づく仮説 B' の証明を以下に述べます.

説 B'' から仮説 B' を導く
\( 1. \, \) まず \( a_1 = b_1 \) を示します:
\( a_1 < b_1 \) と仮定すると, \[ \varepsilon \, \pi_2^{a_2} \, \cdots \, \pi_r^{a_r} = \delta \, \pi_1^{b_1 - a_1} \, \pi_2^{b_2} \, \cdots \, \pi_r^{b_r} \] が成り立ちます. したがって, \[ \pi_1 \, \bigm| \, \varepsilon \, \pi_2^{a_2} \, \cdots \, \pi_r^{a_r} \] ですが, これは \[ \pi_1 \mid \varepsilon \quad \text{または} \quad \pi_1 \mid \pi_2^{a_2} \, \cdots \, \pi_r^{a_r}, \] すなわち, \[ \pi_1 \mid \varepsilon \quad \text{または} \quad \pi_1 \mid \pi_j^{a_j} \quad \left( \exists \, j \neq 1 \right) \] を意味します. (記号 「\( \exists \)」 は 「存在する」 を意味する論理記号です. 「\( \exists \, j \neq 1 \)」 は 「ある \( \, j \neq 1 \, \) に対して」 と読みます.)
\( \diamondsuit \quad \pi_1 \mid \varepsilon \) \( \Longrightarrow \) \( \pi_1 \) は単数,
\( \diamondsuit \quad \pi_1 \mid \pi_j^{a_j} \) \( \Longrightarrow \) \( \pi_1 \) は単数であるか( \( a_j = 0 \)), \( \pi_1 \)と \( \pi_j \) は同伴(\( a_j \ge 1 \)),
ですので, どちらの場合でも矛盾です. \( a_1 > b_1 \) でも同じなので, \(a_1 = b_1 \) でなければなりません.
\( 2. \) 次に \( a_2 = b_2 \), \( \ldots \), \( a_r = b_r \) を示します:
\( a_1 = b_1 \) のときの証明と同じです.
\( 3. \) 最後に \( \delta = \varepsilon \) を示します:
\[   \delta \, \pi_1^{a_1} \, \cdots \, \pi_r^{a_r} = \varepsilon \, \pi_1^{a_1} \, \cdots \, \pi_r^{a_r} \] なので, \( \delta = \varepsilon \) が成り立ちます. (証明終)

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