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ニ☆ウ☆ト☆ラ☆ボ

タイトルテスト中

体拡大の話: 有限次拡大は単拡大

この証明が面白かったので, 書いておく. \( K \subset L \) は \( \mathbb{C} \) 内の有限次拡大.

まず, 次が基本的.

  • 体 \( K \) の \( \mathbb{C} \) への埋め込み(単射準同型) \( \sigma \) があるとする.
  • 代数的数 \( \alpha \) の \( K \) 上の最小多項式を \( f \) とする.
  • \( \beta \) を多項式 \( f^{\sigma} \) の根とする.

このとき,

「 \( \alpha \) の行き先が \( \beta \) であるような \( \sigma \) の \( K[\alpha] \) への延長が存在する. 」

これは, 同型 \[ K[\alpha] \stackrel{\sim}{\leftarrow} K[x] \, / \, (f) \simeq K^{\sigma}[x] \, / \, (f^{\sigma}) \stackrel{\sim}{\rightarrow} K^{\sigma}[\beta] \] からすぐ分かる.

このことから, \( \sigma \) の \( K[\alpha] \) への延長の個数が拡大次数 \[ [K[\alpha] : K] \] であると分かる. すると, 帰納法が使えて,

「 \( \sigma \) の \( L \) への延長の個数は \( [L : K] \) 」

が示せる. 特に,

「 \( K \) の各点を固定する \( L \) の \( \mathbb{C} \) への埋め込みの個数は \( [L : K] \) 」

である.

さて, ここからが本題である.

「 ある \( \alpha \) に対して, \( L = K[\alpha] \) 」

を拡大次数に関する帰納法で示そう. もちろん, 拡大次数が 1 のときには自明である. 拡大次数を 2 以上とする.

ある \( \alpha \in L - K \) をとる. 帰納法の仮定により, \( L \) は \( K[\alpha] \) 上の単拡大である: ある \( \beta \in L \) に対して, \[ L = K[\alpha, \beta]. \] 実はこのとき, うまい \( a \in K \) があって, \[ L = K[\alpha + a \beta] \] となる. というか, ほとんどすべての \( a \in K \) に対して, これが成り立つ. それを見よう.

\( a \in K \) に対して, \[ L \supsetneq K[\alpha + a \beta] \] となったとする. 先に示したように, \( K \) の各点を固定する \( L \) の \( \mathbb{C} \) への埋め込みは \( [L: K] \) 個. ところが, これらの埋め込みによる \( \alpha + a \beta \) の行き先は \( [L : K] \) 個もない. なぜなら, それらの行き先は \( \alpha + a \beta \) の \( K \) 上の最小多項式の根でなければならず, その次数は \[ [K[\alpha + a \beta] : K] \quad \bigl( < [L : K] \bigr) \] だからである. すると, \( K \) を点ごとに固定する, 相異なる \( L \) の埋め込み \( \sigma \), \(\tau \) があって, \[ \sigma(\alpha) + a \,\sigma(\beta) = \tau(\alpha) + a \,\tau(\beta). \] よって, \[ a = \frac{\sigma(\alpha) - \tau(\alpha)}{\tau(\beta) - \sigma(\beta)}. \] (分母は 0 にならない. すぐ分かる.) 埋め込み \( \sigma \), \( \tau \) は有限個しかないので, \[ L \supsetneq K[\alpha + a \beta] \] となるような \( a \in K \) も有限個しかない. したがって, これら以外の \( a \) を選べば, \[ L = K[\alpha + a \beta]. \]

うーん、見事だ!

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