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複素整数と有限体の世界(11)ー第 II 部 基本概念ー約数と倍数(2)

前回の続きです.

"単数" とは, 1 の約数のことです. 有理整数の範囲での単数を "有理単数" といい, 複素整数の範囲での単数を "複素単数" といいます. 文脈上どちらであるかが明らかであれば, 単に単数といいます. 今後の記事においては, ほとんどの場合, 複素単数の意味で単数という語を用います.

1 は全ての複素整数の約数なので, 複素単数も, 全ての複素整数の約数です.

有理単数は ±1 のみであると知っていますが, 複素単数にはどのようなものがあるでしょうか? 以下の命題を用いて, 実際にそれを決定してみたいと思います.

複素整数 \( \alpha \) に対して, \[ \alpha \text{ が複素単数} \, \Longleftrightarrow \, N(\alpha) = 1. \]

以下に証明を述べます.

\( \Rightarrow \)) ある複素整数 \( \beta \) が存在して, \[ 1 = \alpha \, \beta. \] 両辺のノルムをとると, \[ 1 = N(\alpha) N(\beta). \] ノルムは 0 以上の整数なので, \( N(\alpha) = 1 \) が得られます. (証明終)

\( \Leftarrow \)) 自明です. (証明終)

複素単数を決定するために, 命題の右側の条件をさらに変形してみましょう: 複素整数 \( \alpha = a + b \, i \) に対して, \begin{align} N(\alpha) = 1 \,\, &\Longleftrightarrow \,\, a^{2} + b^{2} = 1 \\[0.5em] &\Longleftrightarrow \,\, \left(a, \, b \right) = \bigl(\pm 1, \, 0 \bigr),\, \bigl(0, \, \pm 1 \bigr) \,\, \Longleftrightarrow \,\, \alpha = \pm \, 1, \,\, \pm \, i. \end{align} これで, 複素単数の全体が \[ \pm \, 1, \quad \pm \, i \] であると分かりました.

今後の議論のために, 単数倍だけ異なるという状況に名前を付けておきます:

\( \alpha \), \( \beta \) を複素整数とする. ある単数 \( \varepsilon \) に対して, \[ \alpha \, \varepsilon = \beta \] となるならば, \( \alpha \) と \( \beta \) は同伴であるといい, \[ \alpha \sim \beta \] と書く.