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複素整数と有限体の世界(8)ー第 II 部 基本概念ー共役とノルム(1)

前回までに, 3つの仮説 A, B, C を導入しました. これらの仮説が正しいのかどうか, 今後の記事で検証していきたいと思います.

仮説の検証作業に入る前に, 以後の議論を円滑に進めるため, いくつかの基本的な概念を導入します. それらは, ”共役", ”ノルム”, ”約数と倍数”, ”素数” です. これを数回に分けて行います.

まず今回は, 複素整数の ”共役” と ”ノルム” について述べます. これらは以前の議論において既に用いたものですが, ここで改めて整理しておきます.

複素整数の ”共役” を, 以下のように定義します:
複素整数 \( \alpha = a + b \, i \) に対して, その共役 \( \overline{\alpha} \) を \[ \overline{\alpha} := a - b \, i \] で定義する.
共役に関して, 以下が簡単に確かめられます:
複素整数 \( \alpha \), \( \beta \) に対して,
  1. \( \overline{\alpha + \beta} = \overline{\alpha \mathstrut} + \overline{\beta}, \)
  2. \( \overline{\alpha \beta} = \overline{\alpha \mathstrut} \,\, \overline{\beta}. \)
ルム
複素整数の大きさを表す量として, ”ノルム” という概念を導入します:
複素整数 \( \alpha = a + b \, i \) に対して, そのノルム \( N(\alpha) \) を \[ N(\alpha) := \alpha \, \overline{\alpha} = a^{2} + b^{2} \] で定義する.

複素整数 \( \alpha = a + b \, i \) を, 座標 \( (a, b) \) をもつ平面上の点として, 幾何学的に表すことができます.

\( \alpha = a + b \, i \) \( a \) \( b \) \( \sqrt{a^2 + b^2} \)

このように幾何学的に見るとき, ノルム \( N(\alpha) \) は,

「原点と \( \alpha \) との距離の2乗」
という意味をもちます(三平方の定理). \( \alpha \) の大きさを表すだけならば, 単に距離 \[ \sqrt{a^{2} + b^{2}} \] を用いた方が自然な気もしますが, 整数論への応用における有用性という観点から, その大きさを表す量として, 2 乗した整数値 \[ a^{2} + b^{2} \] を採用します.

ノルムに関しては, 以下が成り立ちます:

複素整数 \( \alpha \), \( \beta \) に対して,
  1. \( N(\alpha \beta) = N(\alpha) \, N(\beta), \)
  2. \( \alpha = 0 \, \Longleftrightarrow \, N(\alpha) = 0. \)
簡単な計算で分かりますので, 証明は省略したいと思います.