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複素整数と有限体の世界(4)ー第 I 部 導入ー複素整数への分解(2)

前回の続きです. 方程式 \[ x^2 + y^2 = n \quad \tag{#} \] の整数解について考えています.

程式 \( x^2 + y^2 = n \)

前回述べた, 方程式 \[ x^2 - y^2 = n \] の解法を真似してみましょう:

  1. 方程式を \[ \left(x + i \, y \right) \left(x - i \, y \right) \, = \, p_1^{\, l_1} \, p_2^{\, l_2} \, \cdots \, p_r^{\, l_r} \] と変形する(右辺は \( n \) の素因数分解).
  2. 右辺の因子を, 互いに共役となるように, \( x + i \, y \) と \( x- i \, y \) に配分する: \[ \left\{ \, \begin{array}{l} x + i \, y \, = \, \pm \, p_1^{\, \frac{l_1}{2}} \, p_2^{\, \frac{l_2}{2}} \, \cdots \, p_r^{\, \frac{l_r}{2}}, \\[0.5em] x - i \, y \, = \, \pm \, p_1^{\, \frac{l_1}{2}} \, p_2^{\, \frac{l_2}{2}} \, \cdots \, p_r^{\, \frac{l_r}{2}}. \end{array} \right. \] (もちろん, \( l_h \) が全て偶数でなければ不可能です.)

明な整数解しか得られない

上記の解法からは自明な整数解(\( x=0 \) または \( y=0 \) である整数解)しか得られません. 実際, \( l_h \) が全て偶数のとき, すなわち, \( n \) が平方数のときに, 整数解 \[ (x, \, y) = \left( \pm \sqrt{n}, \, 0 \right) \] が得られるのみです.

自明な整数解しか得られないということであれば, この解法は何も新しい情報をもたらさないということになります. そうすると, この解法は役に立たない, という結論に落ち着きそうですが, ここであきらめてしまうのは早計です. というのも, この方法にはまだ改善の余地が残されているからです.

数の分解

より多くの整数解を生み出すために, 各素因子 \( p_h \) を左辺と同じ形 \[ p_h = \pi_h \, \overline{\pi_h}, \quad \pi_h \, \text{は複素整数} \] に分解してみます(もちろん, できると仮定してのことです): \[ \left(x+i \, y \right) \left(x-i \, y \right) = \left(\pi_1 \, \overline{\pi_1} \right)^{l_1} \left(\pi_2 \, \overline{\pi_2} \right)^{l_2} \, \cdots \, \left(\pi_r \, \overline{\pi_r} \right)^{l_r}. \] 右辺の因子を \(x + i \, y \) と \( x- i \, y \) に, 互いに共役となるように配分すると,

\( \left(x + i \, y \right) \) \( \left(x - i \, y \right) \) 右辺
\( \pi_1 \) \( \overline{\pi_1} \) \( \left. \begin{array}{c} {} \\[4em] {} \end{array} \right\} \,\, a_1 \) \( \quad \begin{array}{c} \xleftarrow{\large 0 \, \le \, a_1 \, \le \, l_1 \\[1em]} \\ \xleftarrow{} \end{array} \quad \) \( l_1 \,\, \left\{ \phantom{ \begin{array}{c} {} \\[10em] {} \end{array} } \right. \) \( \pi_1 \, \overline{\pi_1} \)
\( \vdots \) \( \vdots \) \( \vdots \)
\( \pi_1 \) \( \overline{\pi_1} \)
\( \overline{\pi_1} \) \( \pi_1 \) \( \left. \begin{array}{c} {} \\[4em] {} \end{array} \right\} \,\,l_1 - a_1 \)
\( \vdots \) \( \vdots \)
\( \overline{\pi_1} \) \( \pi_1 \) \( \pi_1 \, \overline{\pi_1} \)
\( \vdots \) \( \vdots \)
\( \pi_r \) \( \overline{\pi_r} \) \( \left. \begin{array}{c} {} \\[4em] {} \end{array} \right\} \,\, a_r \) \( \quad \begin{array}{c} \xleftarrow{\large 0 \, \le \, a_r \, \le \, l_r \\[1em]} \\ \xleftarrow{} \end{array} \quad \) \( l_r \,\, \left\{ \phantom{ \begin{array}{c} {} \\[10em] {} \end{array} } \right. \) \( \pi_r \, \overline{\pi_r} \)
\( \vdots \) \( \vdots \) \( \vdots \)
\( \pi_r \) \( \overline{\pi_r} \)
\( \overline{\pi_r} \) \( \pi_r \) \( \left. \begin{array}{c} {} \\[4em] {} \end{array} \right\} \,\, l_r - a_r \)
\( \vdots \) \( \vdots \)
\( \overline{\pi_r} \) \( \pi_r \) \( \pi_r \, \overline{\pi_r} \)
より, \[ \left\{ \, \begin{array}{l} x + i \, y \, = \, \pm \, \left(\pi_1^{\, a_1} \, \overline{\pi_1}^{\,l_1-a_1} \right) \, \left(\pi_2^{\, a_2} \, \overline{\pi_2}^{\,l_2-a_2} \right) \, \cdots \, \left(\pi_r^{\, a_r} \, \overline{\pi_r}^{\,l_r-a_r} \right), \\[0.5em] x - i \, y \, = \, \pm \, \left(\pi_1^{\, l_1 - a_1} \, \overline{\pi_1}^{\, a_1} \right) \, \left(\pi_2^{\, l_2 - a_2} \, \overline{\pi_2}^{\, a_2} \right) \, \cdots \, \left(\pi_r^{\, l_r - a_r} \, \overline{\, \pi_r}^{\, a_r} \right). \end{array} \right. \]

もし重複がなければ, \[ 2 \, \left(l_1 + 1 \right) \, \left(l_2 + 1 \right) \, \cdots \, \left(l_r + 1 \right) \] 個の整数解が得られたことになります.

のような素数が分解されるのか?

上記の方法は, 素数の複素整数への分解を仮定しているので, 当然, 次のことが問われなければなりません:

どのような素数 \( p \) が \[ p = \pi \, \overline{\pi}, \quad \pi \, \text{は複素整数} \] という形に分解できるのか?
次回は, この問題について考えます.

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