レ☆ト☆ロ☆ラ☆ボ

タイトルテスト中

複素整数と有限体の世界(1)ー第 I 部 導入ー複素整数の魔法(1)

方程式 \begin{equation} x^{2} + y^{2} = 8633, \quad 0 \le x \le y \tag{#} \end{equation} の整数解を見付けられるでしょうか? 一つの手は, \[ 8633 - x^{2} \] が平方数となる場合をしらみつぶしに探すことですが, これはけっこう大変です. \[ \sqrt{ \frac{8633}{2} } = 65.700 \cdots \] 以下の \(x\), すなわち, \[ x = 0, \,\,\, 1, \,\,\, 2, \,\,\, \ldots, \,\,\, 65 \] について試してみなければならないからです. これはちょっと常人にはやる気の起きない数でしょう. もっとうまい方法はないものでしょうか?

よく知られているのは, ”複素整数” というものを用いる方法です. この, 初めて見るものにはまるで魔法のように見える方法は, 私たちの試行回数を大幅に減らしてくれるので, 上記の方程式程度であれば, 手計算で解くことも可能です.

今回と次回の記事では, 実際にこの計算を行ってみて, ”複素整数” のもつ不思議な力を体験してみたいと思います.

素整数の導入

まず, 複素整数とは, \[ a + b \, i \quad ( \, a, b \text{ は整数} \,) \] と書かれる”数”のことです. ここで, \( i \) は \( i^{2} = -1 \) となる”数”で,

虚数単位」
と呼ばれています.

突然, \[ i^{2} = -1 \] となる不思議な”数” \( i \) が出てきて, それが何なのかはっきりしないため, なんとも得体の知れない導入となっていますが, ここではこの”定義”を採用します. 厳密な定義はもちろんあり, それを述べることも難しくはないのですが, そうすると話が長くなってしまいますので. それに, 複素整数の計算をするだけならば, この”定義”でも十分です. ここでは, 計算を楽しむだけにしておきたいと思います.

素整数の計算

計算の仕方は全く簡単で, 普通の規則で, 足し算と掛け算を行えばよいだけです: \begin{align} \diamondsuit \quad \left(a + b \, i \right) + \left(c + d \, i \right) &= \bigl(a + c \bigr) + \left(b + d \right) \, i, \\[1em] \diamondsuit \quad \left(a + b \, i \right) \times \left(c + d \, i \right) &= ac + a \left(d \, i \right) + \left(b \, i \right)c + \left(b \, i \right) \left(d \, i \right) \\[0.5em] &= \left(ac - bd \right) + \left(ad + bc \right) \, i. \end{align}

掛け算の計算では, \[ i^2 = -1 \] を用いました.

次回は複素整数を利用して, 実際に方程式を解いてみます.

広告を非表示にする