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アポロニアン・ガスケットの描き方(5) ー 反転(2)

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平面の非自明な等角変換が, 立体射影を通して球面の合同変換から得られる. その最も簡単な例を与えるのが, XY平面に関する球面の対称変換 P  \mapsto P' です. 得られる等角変換がどのようなものなのか, 調べてみましょう.

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私たちが知りたいのは点 Q と点 Q' の関係です. 図中の全ての点が同一平面内にあるので, 断面図を描いた方が分り易いでしょう.

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二つの三角形  \triangleISQ' と  \triangleIQN に着目します. これらは相似な三角形なので, 比例式

\[ \mathrm{IQ'} \,\colon\, \mathrm{IN} = \mathrm{IS} \,\colon\, \mathrm{IQ} \]

が成り立ちます. 通常の等式に書き換えると,

\begin{equation} \mathrm{IQ} \cdot \mathrm{IQ'} = r^{2} \tag{#} \end{equation}

です. この等式は対応 Q  \mapsto Q' を完全に規定しています.

私たちは次の結論に辿り着きました.
「式(#)で定義される変換は等角性をもつ.」 単純かつ美しい主張です. そして, ここは私たちが目指してきた場所でもあります. 私たちの求めるもの”反転”とは, 式(#)で定義される変換に他なりません.

中心 I, 半径 r の円 I があるとする. 点 Q ≠ I に対して, 次の 1 と 2 で点 Q' を定義する.

  1. 点 Q' は半直線 IQ上にある.
  2. IQ・IQ' = r ^{2}.
このとき, 写像 \mapsto Q' を円 I に関する反転といい, 円 I をこの反転に関する反転円という.

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反転は等角性のみならず, 円円対応もみたします. 前回の記事を読まれた方には, その理由は明らかでしょう. (等角性が成り立つのと全く同じ理由です.)

反転は次の2性質をもつ.

  1. (円円対応) 広義の円(円または直線)を広義の円に写す.
  2. (等角性) 2曲線のなす角を保存する.

下の図は, 反転が格子を歪めている様子です. 円円対応と等角性が見てとれます.

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(反転円の中心はそれぞれの画像の中心にあります.)

私たちは立体射影の世界に足を踏み入れ, 今や目の前には新たな風景, 等角性という主題が広がっています. 私たちの好奇心はこの世界の探索を欲していますが, それは私たちの目的ではありません. 必要な道具は手に入れました. 目的地, アポロニアン・ガスケットへと向かいましょう.

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