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テイラーの定理(3)

\( \newcommand{\a}{\alpha} \newcommand{\cd}{\cdots} \newcommand{\ld}{\ldots} \)

1. 前回, 平均値の定理を用いてテイラーの定理を証明しました.

\( n \) を \( 0 \) 以上の整数とする.

(1)\( f \) を閉区間 \( [a,b] \) 上の \( C^n \) 級関数とし, その \( n \) 階導関数 \( f^{(n)} \) は開区間 \( (a,b) \) 上で微分可能とする. このとき, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ f(b) = \sum_{k=0}^n f^{(k)}(a) \frac{(b-a)^k}{k!} + f^{(n+1)}(c) \frac{(b-a)^{n+1}}{(n+1)!} \] が成り立つ.
(2)\( f \) を閉区間 \( [b,a] \) 上の \( C^n \) 級関数とし, \( f^{(n)} \) は開区間 \( (b,a) \) 上で微分可能とする. このとき, ある \( c \in (b,a) \) が存在して, 上と同じ式が成り立つ.

今回は, ロルの定理を用いた別証明を述べたいと思います.

2. まず, ロルの定理からすぐに従う補題から.

\( n \ge 0 \) とする. \( F \) を \( [a,b] \) 上の \( C^n \) 級関数とし, \( n \) 階導関数 \( F^{(n)} \) は \( (a,b) \) 上で微分可能とする. \( F \) が次の2つの条件
  • (a) \( F(b) = 0 \),
  • (b) \( F^{(k)}(a) = 0 \quad (0 \le k \le n) \)
をみたすとき, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ F^{(n+1)}(c) = 0 \] となる.

なぜなら:

ロルの定理より, \( (a,b) \) 内に \[ c_1 > c_2 > \cd > c_n > c \] が次々ととれて, \[ F'(c_1) = 0, \quad F''(c_2) = 0, \quad \ld ,\quad F'(c_n) = 0, \quad F^{(n+1)}(c) = 0 \] となる. //

系として次が導かれます.

\( n \ge 0 \) とする. \( F \), \( G \) を \( [a,b] \) 上の \( C^n \) 級関数とし, \( n \) 階導関数 \( F^{(n)} \), \( G^{(n)} \) は \( (a,b) \) 上で微分可能とする. \( F \) と \( G \) が次の2つの条件
  • (a) \( F(b) = G(b) \),
  • (b) \( F^{(k)}(a) = G^{(k)}(a) \quad (0 \le k \le n) \)
をみたすとき, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ F^{(n+1)}(c) = G^{(n+1)}(c) \] となる.

3. テイラーの定理の証明の前に次の事実に注意しておきます: 多項式 \[ p(x) = \sum_{k=0}^n \a_k \frac{(x - a)^k}{k!} \] を微分すると, 係数が左へ1つシフトする. すなわち, \[ p'(x) = \sum_{k=0}^{n-1} \a_{k+1} \frac{(x-a)^k}{k!}. \]

4. さて, テイラーの定理の証明を述べます.

証明:

一次方程式 \[ f(b) - \sum_{k=0}^{n} \, f^{(k)}(a) \, \frac{(b-a)^k}{k!} = X \, \frac{(b-a)^{n+1}}{(n+1)!} \] は \( X \) の係数がゼロでないので, ただ1つの解をもつ. それを \( R \) とする: \[ f(b) - \sum_{k=0}^{n} \, f^{(k)}(a) \, \frac{(b-a)^k}{k!} = R \, \frac{(b-a)^{n+1}}{(n+1)!}. \tag{\(\color{red}{\text{☆}}\)} \] 示したいのは, ある \( c \in (a,b) \) に対して, \[ R = f^{(n+1)}(c) \] となることである.

)の両辺で, \( b \) を \( x \) に置き換えたものを考える: \begin{align} F(x) &:= f(x) - \sum_{k=0}^{n} \, f^{(k)}(a) \, \frac{(x-a)^k}{k!}, \\[0.8em] G(x) &:= R \, \frac{(x - a)^{n+1}}{(n+1)!}. \end{align} このとき, \( F(b) = G(b) \) であり, また, 上の注意により, \[ F^{(i)}(a) = 0 = G^{(i)}(a) \quad (0 \le i \le n) \] である. したがって, これらは補題の系の仮定をみたす. それ故, ある \( c \in (a,b) \) が存在して, \[ F^{(n+1)}(c) = G^{(n+1)}(c), \] すなわち, \[ f^{(n+1)}(c) = R \] となる. //

5. 上の証明では, ()の両辺において \( b \) を \( x \) に置き換えました. ここで, \( b \) ではなく \( a \) を \( x \) に置き換えると, 面白いことが起こります. 次回, このことについて述べたいと思います.